エベロリムスは神経内分泌腫瘍患者に有効(RADIANT-4試験)
消化管または肺の進行非機能性神経内分泌腫瘍の患者に対して、エベロリムス投与がプラセボと比較して無増悪生存期間の有意の延長を認めた。
議題:消化器がん
第3相試験の結果によれば、消化管または肺に発生した進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)患者に対する、エベロリムス(哺乳類ラパマイシン標的タンパク(mTOR)の阻害剤)治療がプラセボと比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長した。
この結果はシンガポールで開催された欧州臨床腫瘍学会アジア会議で発表され、同時にLancet誌でも公表された。
RADIANT-4試験は、消化管または肺の高分化神経内分泌腫瘍(NET)患者302人をプラセボ群またはエベロリムス(10mg/日)群に割り付け、両群とも最善の支持療法を実施した。
主要評価項目であるPFSは、中央解析で評価され、プラセボ群97人よりもエベロリムス群205人の方が長く(中央値:3.9カ月対11.0カ月)、進行または死亡のリスクを有意に低下させた(ハザード比0.48)。Seoul National University Hospital(韓国)のDo-Youn Oh氏は、事前に設定したほとんどのサブグループにわたってエベロリムスの効果が認められたと報告した。
奏効率は、エベロリムス群2%に対し、プラセボ群1%であり、同程度であった。しかし、病勢コントロール率は、エベロリムス群(82%)の方がプラセボ群(65%)より高く、また腫瘍縮小した患者の割合もエベロリムス群(64%)の方がプラセボ群(26%)より高かった。さらに、最良効果として病勢が進行した患者の割合は、エベロリムス群(9%)がプラセボ群(27%)よりも低かった。
事前に予定されていた全生存の中間解析では、エベロリムスは死亡のリスクを36%低下させたが、この結果は統計学的有意には達していない。
エベロリムス治療を受けた患者で、最も多くみられたグレード3もしくは4の有害事象は、口内炎(9%)、下痢(7%)、感染症(7%)であった。
だがDo-Youg Oh氏によると、副作用の大半はグレード1または2であり、既存の安全性プロフィールと一致する結果であった。さらに、(各薬剤)投与中の死亡率もエベロリムス群(3.5%)とプラセボ群(3.1%)であり、同程度であった。
「エベロリムスは、膵臓、肺、消化管発生を含む幅広い範囲にわたるNET患者に対して強い抗腫瘍効果を示し、忍容性も許容範囲内であった」と、今回の発表者は結論づけた。
主な結果が発表された後のディスカッションにおいて、Yonsei University College of Medicine(韓国、ソウル)のSun Young Rha氏は、今回の結果を「実地医療を変えるものである」と評価した。
さらに Sun Young Rha氏は、試験参加者のほぼ半数において、一般的には予後不良とされる肺、直腸、胃または結腸原発の腫瘍であることを強調した。すなわち、エベロリムス治療は原発腫瘍部位に関わらずPFSを改善し、原発部位別にみて予後良好あるいは予後不良のいずれの患者にとっても治療効果が認められた。
Sun Young Rha氏は、消化管または肺発生の進行NET患者に対する治療選択肢となったエベロリムスに加えて、最近、複数の薬剤が非機能性NET治療法に加わったとコメントした。
参考文献
Yao JC, Singh S, Wolin E,et al. RADIANT-4: Efficacy and safety of everolimus in advanced, nonfunctional neuroendocrine tumors (NET) of the lung or gastrointestinal (GI) tract. Presented at: ESMO Asia 2015 Congress. Singapore; 18–21 December 2015; 368O
Yao JC, Fazio N, Singh S, et al. Everolimus for the treatment of advanced, non-functional neuroendocrine tumours of the lung or gastrointestinal tract (RADIANT-4): a randomised, placebo-controlled, phase 3 study. Lancet 2015; Advance online publication 15 December
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