消化器癌治療の進展ーASCO GIシンポジウムハイライト
2014年1月16日から18日にカリフォルニア州サンフランシスコのMoscone West Buildingで開催される2014消化器癌シンポジウム(2014 Gastrointestinal Cancers Symposium)に先だって、消化器癌の診断、治療、管理に関する研究が本日発表された。
シンポジンウムにて発表予定のトップスタディー5本を本日のPresscastで取り上げた。
標準的な二次化学療法にRamucirumabを併用することにより、転移性胃癌の患者の生存率が向上–
全世界の600人以上の患者を対象とする第3相臨床試験の結果によれば、これまで生存期間を延長できる治療法の存在しなかった治療歴のある胃癌に対して、試験的な分子標的薬ramucirimabを含む併用療法が新たな治療の選択肢となりうることを示している。
二つの抗癌ワクチンの併用により転移性膵臓癌の生存率が向上–
90人の患者を対象とした第2相臨床試験において、転移性膵腺癌の治療として抗癌ワクチンCRS-207が、GVAX Pancreasに加えて投与された。これは免疫療法を受けた転移を有する膵臓癌患者の全生存率の向上を示す初めてのランダム化試験である。
治療抵抗性の神経内分泌腫瘍の患者に対する化学療法の併用による持続的な奏効と無憎悪生存率が向上–
この進行中の第2相臨床試験を受けた患者のほとんどがカペシタビンとテモゾロミドの併用療法(CAPTEM)により、腫瘍縮小や腫瘍増大の停止などの臨床的な便益を経験していた。CAPTEMは、通常化学療法に耐性があるカルチノイド腫瘍の患者にさえも効果を示した。
ステージ2、ステージ3の大腸癌患者に対して経口化学療法は経静脈的化学療法に匹敵–
第3相の臨床試験から得た新たな知見によるとカペシタビン(内服薬)を術前の放射線照射と併用すると、術前に5フルオロウラシル(点滴)を投与するのと同様に効果があるという。これは経口と経静脈的治療の臨床的な便益に有意差がないことを示す最大の臨床研究であり、また、この研究はどちらの治療にオキサリプラチンを加えても、臨床的な奏効は改善しないことも示した。
RASにより転移性大腸癌患者のパニツムマブ治療併用に対する奏効を予測–
大規模第3相試験の一部として集められた腫瘍サンプルの遺伝分析ではRAS遺伝子の変異のある腫瘍に対しては、二次治療のFOLFIRI療法にパニツムマブを併用したときに得られた利点が得られないことが示された。この分析は二次治療における、RAS遺伝子変異の影響を を調べる初めての研究であった。
「本日発表された3本の試験は、歴史的に治療が難しいと診断されてきた患者の予後を改善するのに併用療法がいかに役立つかを示した」とpresscastの司会をしたSmitha Krishnamurthi医師は話した。
「後の研究2本は、進行大腸癌患者の一連の不要な治療を減らし、大腸癌患者に等しく効果的でありながらさらに便利な選択肢を与えることで患者のQOL改善に大きな進歩をもたらしている。これらの5本の研究は2014消化器癌シンポジウムで発表される画期的研究の例です」。
消化管癌は大腸・直腸・胃・膵臓・食道・小腸・肛門・その他の消化器管を含む。2014年にはアメリカで289,610人がこれらの癌と診断され147,260人がこの癌が原因で死亡するとされる。
2014年の消化管癌シンポジウムは下記が協賛した。
The American Gastroenterological Association (AGA) Institute, the American Society of Clinical Oncology (ASCO), the American Society for Radiation Oncology (ASTRO) and the Society of Surgical Oncology (SSO).
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