進行胃/胃食道接合部腺がんにフルキンチニブ+パクリタキセル併用療法
米国臨床腫瘍学会(ASCO)
ASCO専門家の見解
「FRUTIGA試験において、fruquintinib[フルキンチニブ]とパクリタキセルの併用は、進行した胃/胃食道接合部腺がん患者において、パクリタキセルと比較した無増悪生存期間という主要評価項目を満たしました。今回の知見は、フルキンチニブ+パクリタキセルという新たな併用療法が二次治療における選択肢となり得ることを示唆しています」と、ASCO消化器がん専門医のCathy Eng医師(FACP:米国内科学会フェロー、FASCO:ASCOフェロー)は述べた。
中国で実施された新たな第3相試験の結果、進行胃がん患者の無増悪生存期間が有意に改善したことが示された。著者らによると、本試験は、進行した胃/胃食道接合部腺がん患者に対する二次治療において、ラムシルマブ療法に代わる新たな治療法による生存利益を初めて証明した第3相試験である。これらの結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズの2024年2月セッションで発表される。
FRUTIGA試験では、フルオロピリミジンまたはプラチナ製剤を含む一次化学療法で進行した進行胃/胃食道接合部腺がん患者を対象に、フルキンチニブ+パクリタキセル療法の有効性と安全性をプラセボ+パクリタキセル療法と比較評価した。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間および全生存期間であった。
2021年以降の利用可能な疫学データによると、胃/胃食道接合部腺がん患者のおよそ49.5%が二次治療を受けている。フルキンチニブは、遠隔転移を有する大腸がん患者の3次治療以降の治療薬として、米国と中国ですでに承認されている。
フルキンチニブは経口の血管内皮増殖因子(VEGF)受容体阻害薬で、VEGFR1、2、3を阻害する。VEGFは新生血管の形成を制御するが、フルキンチニブなどの特定の薬剤でその働きを阻害することができる。VEGF受容体をブロックすることで、腫瘍の成長と転移に必要な栄養素を供給するために使われる新生血管の形成を阻止し、腫瘍を実質的に "飢餓状態 "にするのである。
この試験には703人の患者が登録され、699人の患者が試験薬の投与を1回以上受けた。患者の属性は両群で均衡がとれており、フルキンチニブ群では年齢中央値57歳、男性70.9%、アジア人99.7%、プラセボ群では年齢中央値59歳、男性68.2%、アジア人100%であった。プラセボ群では、年齢中央値59歳、男性68.2%、アジア人100%であった。しかし、その後の抗腫瘍療法を受けた患者の割合は、フルキンチニブ+パクリタキセル群で52.7%、プラセボ+パクリタキセル群で72.2%と、両群で不均衡が生じていた。
主な知見
- フルキンチニブ群ではプラセボ群と比較して無増悪生存期間が有意に改善した(5.55カ月対2.73カ月)。
- 全奏効率は、フルキンチニブ群がプラセボ群と比較して有意に高かった(42.5%対22.4%)。
- 追跡期間中央値31.7カ月後の全生存期間中央値は、フルキンチニブ+パクリタキセル群で9.63カ月、プラセボ+パクリタキセル群で8.41カ月であったが、統計学的に有意ではなかった。その後の抗腫瘍療法について調整するためにpost-hoc解析が行われ、以下の結果が得られた。
- フルキンチニブ+パクリタキセル群で全生存期間は、統計学的に有意に改善した。
- リンパ節転移および非拡散性胃/胃食道腺がん患者では、無増悪生存期間中央値はさらに延長し(フルキンチニブ群6.08カ月、プラセボ群2.69カ月)、全生存期間も統計学的に有意に改善した(9.56カ月対7.85カ月)。
- 著者らは2月セッションで全生存期間の感度解析の結果も発表する予定である。
治療中に発現したグレード3以上の有害事象で最も多かったのは、好中球減少症(60.0%対36.4%)、白血球減少症(42.9%対23.5%)、貧血(11.7%対10.6%)であった。
「進行胃/胃食道腺がんに作用するVEGFRシグナル伝達経路の有効性については、ラムシルマブの有効性によってすでに裏付けられていましたが、今回のFRUTIGAの良好な結果はそのエビデンスをさらに充実させるものです。フルキンチニブ+パクリタキセル併用療法は、一次化学療法で進行した進行胃/胃食道腺がん患者に対する有望な二次治療の選択肢となると思われます」と、本試験筆頭著者Rui-hua Xu医師(中国広州、中山大学がんセンター)は述べる。
- 監訳 中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院)
- 翻訳担当者 山田登志子
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- 原文掲載日 2024/02/05
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