スーテント(Sutent®)は切除不能肝細胞癌患者に有効ではないとの結果
キャンサーコンサルタンツ
2009年7月
進行性肝細胞癌の患者に対するスーテント(スニチニブ)を用いた治療は奏効率が低く、著しい毒性を伴うことが、フランスの研究者たちにより報告された。本研究の詳細は、「Lancet Oncology」誌の2009年7月7日付オンライン版に、本誌に先行して掲載されている。[1]
スーテントはfms様チロシンキナーゼ3(Flt3)、Kit、VEGFおよびPDGFの受容体を標的とした経口投与キナーゼ阻害剤で、多様な悪性腫瘍の治療に向けて現在臨床試験が行われている。本剤は癌細胞を直接殺すだけでなく、血管新生阻害などの標的機能により抗癌作用を発揮する。第1相試験および第2相試験では、腎細胞癌およびその他の固形腫瘍に対し、抗腫瘍活性および血管新生阻害作用を有することが証明された。2006年1月に米国食品医薬品局が、グリベック(Gleevec®、メシル酸イマチニブ)による治療後に進行した消化管間質腫瘍の治療および進行性腎細胞癌の治療に本剤を用いることを承認した。さらに新しい研究では、膵島細胞癌と非小細胞肺癌の治療にも有効であることが示唆されている。
本臨床試験に登録された患者総数37人のうち、部分奏効がみられたのは1人のみであった。しかし、患者の35%は3カ月以上にわたり病状が安定していた。多くみられた副作用は、血小板減少、好中球減少、貧血および手足症候群であった。薬剤の毒性に関連する可能性のある死亡が4人あった。
コメント:
本臨床試験の結果はあらかじめ設定した有効性の基準に適合せず、治療には著しい毒性が伴った。他の類似する分子標的薬剤は肝細胞癌に有効だと思われるため、この結果は残念である。肝細胞癌に対し、投与量と投与スケジュールを変えて試験が行われる可能性もあるだろう。
参考文献:
[1] Falvre S, Raymond E, Boucher E, et al. Safety and efficacy of sunitinib in patients with advanced hepatocellular carcinoma: an open-label, multicentre, phase II study. Lancet Oncology [early online publication]. July 7, 2009.
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