FDAが胆管がんにフチバチニブを迅速承認

2022年9月30日、米国食品医薬品局(FDA)は、フチバチニブ(販売名:Lytgobi、大鵬薬品工業)を迅速承認した。適応は、治療歴があり切除不能な、局所進行または転移性の肝内胆管癌で、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子の融合またはその他の再構成を有するものである。

有効性は、多施設共同、非盲検、単群試験であるTAS-120-101試験(NCT02052778)において、治療歴を有するFGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を有する局所進行または転移性の切除不能な肝内胆管がん患者103人を対象に評価された。FGFR2融合遺伝子またはその他の再構成の検出は、次世代シークエンス検査で行われた。患者は疾患進行または許容できない毒性が認められるまで、1日1回フチバチニブ20 mgの経口投与を受けた。

主な有効性評価項目は、RECIST第1.1版に基づいて盲検下の独立判定委員会で評価された奏効率(ORR)および奏効期間(DoR)であった。ORRは42%(95%信頼区間[CI]:32、52)であり、43人のレスポンダー全員が部分奏効を示した。DoR中央値は9.7カ月(95%信頼区間:7.6、17.1)であった。

患者の20%以上に認められた最もよく見られる有害事象は、爪毒性、筋骨格痛、便秘、下痢、疲労、口渇、脱毛、口内炎、腹痛、皮膚乾燥、関節痛、味覚障害、ドライアイ、悪心、食欲低下、尿路感染、手掌足底発赤知覚不全症候群および嘔吐であった。

フチバチニブの推奨用量は経口投与で1日1回 20 mgで、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。

Lytgobiの全処方情報はこちらを参照。

監訳:泉谷 昌志(消化器内科、がん生物学/東京大学医学部附属病院)

翻訳担当者 後藤 若菜

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肝臓がん・胆嚢がんに関連する記事

術前免疫療法薬により高リスク肝がんの手術適応が増え、予後改善の可能性の画像

術前免疫療法薬により高リスク肝がんの手術適応が増え、予後改善の可能性

従来なら手術の候補にならなかった患者が手術可能に

肝がん患者(従来の基準では手術の対象とならなかった患者など)に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を投与したところ、手術を先...
ERBB2/3遺伝子異常を有する胆道がんにペルツズマブ+トラスツズマブ併用が有望の画像

ERBB2/3遺伝子異常を有する胆道がんにペルツズマブ+トラスツズマブ併用が有望

ASCOの見解「ASCOが治験依頼者であるTAPURバスケット試験から得られた知見は、進行胆道がん(胆管がん、胆のうがん)の治療におけるERBB2/3経路の役割が非常に有望であ...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
HER2標的トラスツズマブ デルクステカンは複数がん種で強い抗腫瘍効果と持続的奏効ーASCO2023の画像

HER2標的トラスツズマブ デルクステカンは複数がん種で強い抗腫瘍効果と持続的奏効ーASCO2023

MDアンダーソンがんセンター(MDA)トラスツズマブ デルクステカンが治療困難ながんに新たな治療選択肢を提供する可能性

HER2を標的とした抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステ...