FDAが局所進行/転移性胆道がんにデュルバルマブを承認
2022年9月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、局所進行または転移性の胆道がん(BTC)の患者を対象に、ゲムシタビンおよびシスプラチンとの併用でデュルバルマブ(販売名:イミフィンジ、AstraZeneca UK Limited社)を承認した。
組織学的に確認された局所進行の切除不能または転移性胆道がんで、進行がんに対する全身療法歴がない患者685人を対象とした、ランダム化二重盲検プラセボ対照国際共同試験、TOPAZ-1(NCT03875235)において有効性が評価された。
試験の人口統計学的内訳は、アジア人56%、白人37%、黒人2%、その他の人種4%で、ヒスパニック系またはラテン系アメリカ人が7%であった。男性50%、女性50%、年齢中央値64歳(範囲20歳〜85歳)、47%が65歳以上であった。56%が肝内胆管がん、25%が胆嚢がん、19%が肝外胆管がん患者であった。
患者は以下の2群に1:1の比率で無作為に割り付けられた。
・21日サイクルの1日目にデュルバルマブ1,500 mg、1日目と8日目にゲムシタビン1,000 mg/m2とシスプラチン25mg/m2を最大8サイクル投与し、その後4週間ごとにデュルバルマブ1,500mgを投与
・21日サイクルの1日目にプラセボ、1日目と8日目にゲムシタビン1,000 mg/m2とシスプラチン25 mg/m2を最大8サイクル投与し、その後4週間ごとにプラセボを投与
デュルバルマブまたはプラセボは、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで投与された。患者が臨床的に安定し、臨床的有用性が得られていると試験責任医師が判断した場合は、疾患進行後も投与が認められた。
有効性主要評価項目は全生存期間(OS)であった。腫瘍評価は、最初の24週間は6週間ごとに、その後は客観的な疾患進行が確認されるまで8週間ごとに実施された。ゲムシタビンおよびシスプラチンとデュルバルマブを無作為に投与された患者は、ゲムシタビンおよびシスプラチンとプラセボを無作為に投与された患者と比較して、全生存期間が統計学的に有意に改善することが示された。全生存期間中央値はデュルバルマブ群で12.8カ月(95%CI:11.1、14)、プラセボ群で11.5カ月(95%CI:10.1、12.5)であった(ハザード比0.80;95%CI:0.66、0.97、p=0.021)。無増悪生存期間中央値はデュルバルマブ群で7.2カ月(95%CI:6.7、7.4)、プラセボ群で5.7カ月(95%CI:5.6、6.7)であった。試験責任医師が評価した全奏効率は、デュルバルマブ群で27%(95%CI:22%〜32%)、プラセボ群で19%(95%CI:15%〜23%)であった。
患者に発現した主な副作用(20%以上)は、疲労、悪心、便秘、食欲減退、腹痛、発疹、発熱であった。
デュルバルマブの推奨用量は、ゲムシタビンおよびシスプラチンと併用する場合、体重30 kg以上の患者には3週間ごとに1,500 mg、その後は疾患進行または許容できない毒性が確認されるまで単剤で4週間ごとに1,500 mgを投与する。体重30 kg未満の患者への推奨用量は、ゲムシタビンおよびシスプラチンと併用して3週間ごとに20 mg/kgを投与し、その後疾患進行または許容できない毒性が確認されるまで4週間ごとに20 mg/kgを投与する。
イミフィンジの全処方情報はこちらを参照(日本語の添付文書はこちらを参照)。
監訳:中村 能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院)
翻訳担当者 中島 節
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肝臓がん・胆嚢がんに関連する記事
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト
2024年12月20日
術前免疫療法薬により高リスク肝がんの手術適応が増え、予後改善の可能性
2024年9月17日
肝がん患者(従来の基準では手術の対象とならなかった患者など)に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を投与したところ、手術を先...
ERBB2/3遺伝子異常を有する胆道がんにペルツズマブ+トラスツズマブ併用が有望
2024年5月23日
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果
2024年2月19日
「運動習慣の改善や食事制限...