代謝機能不全因子は肝がんリスクの上昇と関連
肝がんは肥満関連がんであることの重大な裏付けとなるデータが示される
大規模前向きコホート試験により、体格指数(BMI)の上昇、腹囲の増大および2型糖尿病が肝がんリスクの上昇に関連していたという研究報告が、米国がん学会のCancer Research誌に発表された。
「米国における肝がんの発症率は、1970年代中期から約3倍に増加しており、患者の予後が特に厳しいがんです」とアメリカがん協会の消化器がん研究戦略ディレクターであるPeter Campbell博士は述べた。
肥満率が米国で増加していることを受け、同氏のチームでは、BMIと腹囲に基づく肥満と肥満関連疾患である2型糖尿病が肝がんリスクと関連しているかどうかを、異なる14件の臨床研究に登録した米国成人全体を対象として検討した。
「この3つの因子それぞれが肝がんリスクに強く関連していることが明らかになりました。3つの因子とも代謝機能障害に関連しています」と、Campbell博士は述べた。
「この結果は、肝がんが肥満関連がんであるということをはっきりと示しています」。
この知見はまた、肥満の抑制を目的とした公衆衛生の努力を支援するエビデンスをさらに強化すると、Campbell博士は指摘した。
「このことはまた、身長に比して『正常』範囲内の体重を維持するためのもう一つの理由です」、とCampbell博士は述べた。Campbell博士はまた、この知見は肥満および糖尿病がここ数十年における肝がんの急速な増加の一因である可能性を示す他のデータと一致すると付け加えた。「肝がんは単純に過度の飲酒や肝炎ウイルス感染に関連しているわけではありません」。
Campbell博士らは、米国での14件の前向き臨床研究に登録した157万人の成人データをプールした。登録時に参加者は身長、体重、アルコール摂取量、喫煙の有無、その他がん発症につながる潜在要因に関する質問票に回答した。登録時に、がんを有する被験者はいなかった。
参加者の6.5%が2型糖尿病と診断されていた。その後、2,162人が肝がんを発症した。 がんであることは著者らが確認している。
研究者らは、肝がんの相対リスクを明らかにするため、肥満や糖尿病の有無で肝がんの発症率を比較した。
BMIが5(kg/m2)上昇するごとに、肝がんリスクが男性で38%、女性で25%上昇した。また、腹囲の5 cmごとの増大により肝がんリスクは8%上昇した。
飲酒量、喫煙、人種、BMIにより補正すると、2型糖尿病の参加者では肝がんと診断される率が2.61倍であり、BMIの上昇に伴い、さらにリスクは上昇した。
「米国における肝がんの生涯リスクは約1%であり、1年間では成人10万人あたりおよそ8人が発症します。本研究によると、2型糖尿病成人での肝がん発症リスクは2型糖尿病でない人と比べ2倍以上になります」と、Campbell博士は指摘した。
「公衆衛生の視点からすると、これらの結果はとても重要です。なぜなら、残念ながら肥満および糖尿病は多くの人々にみられます。他の多くの論文で指摘されているリスク因子のB型またはC型肝炎ウイルスは、肝がんの発症リスク増加に関連していますが、これらの因子は肥満および糖尿病に比べると、ずっと少ないのです」と、本研究の筆頭著者であり、国立がん研究所の代謝疫学部の主任研究者であるKatherine A. McGlynn博士(公衆衛生学修士)は述べた。
本研究の限界は、各パラメーターの測定が研究開始時の一時点のみであり、またすべて自己申告によるものであった。
本研究は米国がん研究所とアメリカがん協会による助成を受けた。
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