新たな経口薬アスナプレビルとダクラタスビルの併用によりC型肝炎を治癒できる可能性
キャンサーコンサルタンツ
2つの新たな臨床試験結果によれば、経口抗ウイルス薬2剤のみによる新しいレジメンは、ほとんどのC型肝炎ウイルス患者にとって副作用が少なく、短期間でより効果的な治療の選択肢となる。この試験結果がこのほどLancet誌で発表された。
慢性C型肝炎ウイルス(HCV)患者は世界で1億5000万人にのぼる。この感染状態が肝硬変と肝臓癌の主な原因である。現在のところ、遺伝子型1型の慢性HCV患者の標準的治療として、リバビリン、ペグインターフェロン、プロテアーゼ阻害剤の3剤併用療法がある。これら3つの薬剤は併用されるとウイルスの複製を阻害し、体の免疫反応を増強することでウイルスを駆除する。この併用療法は効果的ではあるが、経済的に相当な負担となり、投与が簡単でなく、重篤な副作用を伴う。
今回の試験では、遺伝子型1b型(米国、ヨーロッパ、北アジア、オーストラリアと南米において最も多い遺伝子型というだけでなく、最も治療が難しいタイプの一つ)のHCV患者645人に、経口DAA(直接作用型抗ウイルス剤)であるアスナプレビルとダクラタスビルを6カ月併用投与した。さらに、治療歴のない患者102人をプラセボ群とした。今回の治療レジメンはウイルスの駆除に非常に効果的であり、従来、治療が困難とされてきた患者でも良好な耐容性を示した。治療歴のない患者の90%と、標準的治療に不耐容か、治療が有効でなかった患者の82%が治癒した。患者の性別、年齢、人種、進行した肝臓病の有無などの特性による治療効果への影響はみられず、少なくとも、いずれの特性も治療への反応不良予測因子として認識されなかった。
遺伝子型1b型HCV感染に対するダクラタスビルとアスナプレビルの24週投与後の効果と安全性は、プロテアーゼ阻害剤を基本とした第一世代の3剤併用療法と比べて大幅に改善されると思われる。インターフェロンもリバビリンも使用せず、経口薬のみによる今回の新たな併用療法は、従来、治療が困難とされてきた肝硬変を有する患者や、既存の治療が有効でなかった患者に対して、より効果的で、安全かつ短期間で簡便な治療の選択肢となる可能性がある。
参考文献:
Manns M, Pol S, Jacobson I, et al. All-oral daclatasvir plus asunaprevir for hepatitis C virus genotype 1b: a multinational, phase 3, multicohort study. The Lancet, Early Online Publication, 28 July 2014
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肝臓がん・胆嚢がんに関連する記事
術前免疫療法薬により高リスク肝がんの手術適応が増え、予後改善の可能性
2024年9月17日
肝がん患者(従来の基準では手術の対象とならなかった患者など)に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を投与したところ、手術を先...
ERBB2/3遺伝子異常を有する胆道がんにペルツズマブ+トラスツズマブ併用が有望
2024年5月23日
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果
2024年2月19日
「運動習慣の改善や食事制限...
HER2標的トラスツズマブ デルクステカンは複数がん種で強い抗腫瘍効果と持続的奏効ーASCO2023
2023年6月28日
HER2を標的とした抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステ...