オラパリブは高リスク胃がんの全生存期間を改善

キャンサーコンサルタンツ

オラパリブ[olaparib](リンパルザ[Lynparza])とパクリタキセルの併用により、パクリタキセル単剤と比較して、ATMと呼ばれるDNA損傷応答遺伝子が低値または検出不能な値である転移性胃がん患者の全生存期間が改善した。

アメリカがん協会の推計によると、2015年に24,590人のアメリカ人が胃がんと診断され、およそ10,720人のアメリカ人が胃がんにより死亡すると推定される。全ステージを合わせた5年相対生存率は約28%である。胃がんの罹患率は、米国では比較的低いが、世界的にはがんによる死因の第2位である。胃がんの罹患率は、韓国、中国、台湾、日本などアジア諸国で極めて高い。胃がん治療としては、一般的にがんの外科的切除に続いて、化学療法または化学療法と放射線治療の併用を行う。

オラパリブは、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤で、DNAの損傷の修復に関わる酵素を阻害する。オラパリブは当初、BRCA遺伝子変異に関連する進行性卵巣がん患者の治療薬として、2014年に承認された。

今回報告された研究では、2010年2月~2012年5月に韓国の13カ所の医療機関で登録された患者を対象とした。患者の約90%はそれまでにプラチナ+フルオロピリミジンの化学療法を受けていた。

合計124人の患者が経口オラパリブ+パクリタキセルまたはプラセボ+パクリタキセルの投与を受けた後、オラパリブまたはプラセボ単剤の維持療法を受けた。

オラパリブ+パクリタキセル併用群はおおむね良好な忍容性を示し、予期せぬ副作用はなかった。研究者らは、全研究対象集団の中で、プラセボ+パクリタキセル併用群と比較して、オラパリブ+パクリタキセル併用群は生存期間が著しく改善したと報告した。オラパリブ+パクリタキセル併用群は、ATM発現が低い患者においても、プラセボ群に対して生存期間が著しく改善した。

参考文献:
Yung-Jue Bang, MD, PhD et al. online in the Journal of Clinical Oncology.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 太田奈津美

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

胃がんに関連する記事

二重特異性免疫チェックポイント阻害薬カドニリマブはPD-L1発現に関係なく胃がん生存率を改善の画像

二重特異性免疫チェックポイント阻害薬カドニリマブはPD-L1発現に関係なく胃がん生存率を改善

PD-1/CTLA-4二重特異性抗体cadonilimab(カドニリマブ)と化学療法の併用は、PD-L1低値腫瘍患者を含む、未治療のHER2陰性局所進行または転移性胃/胃食道接合部がん...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
進行胃/胃食道接合部腺がんにフルキンチニブ+パクリタキセル併用療法の画像

進行胃/胃食道接合部腺がんにフルキンチニブ+パクリタキセル併用療法

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「FRUTIGA試験において、fruquintinib[フルキンチニブ]とパクリタキセルの併用は、進行した胃/胃食道接合部腺がん...
胃がんの遺伝的リスクがある人の予防的胃切除術の影響は長期に及ぶの画像

胃がんの遺伝的リスクがある人の予防的胃切除術の影響は長期に及ぶ

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログある若い女性にとって、その診断を受けたことで「悲しみ、不安、恐怖 」がつきまとった。別の一人は、「毎日(そのことを)考えたわけではないと言え...