FDAが胃癌の治療にラムシルマブを承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE: 2014年4月21日
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FDAが胃癌の治療にラムシルマブを承認
米国食品医薬品局(FDA)は2014年4月21日、進行した胃癌または食道胃接合部腺癌の患者の治療に、Cyramza(ramucirumab[ラムシルマブ])を承認した。
胃癌は胃粘膜の組織に発現し、発症のほとんどが高齢者にみられる癌である。米国国立癌研究所(NCI)の推定によれば、今年、22,220人のアメリカ人が胃癌と診断され、そのうち10,990人が死亡するという。
Cyramzaは血管新生阻害剤であり、腫瘍への血液供給を阻害する。本剤は、フルオロピリミジン含有、またはプラチナ含有製剤を用いた治療後で、手術では切除できない癌(切除不能)または広がった癌(転移性)の状態の患者を対象とする。
「米国では胃癌の罹患率が過去40年で低下していますが、それでも患者は、特に他の治療法で奏効を示さなくなった場合に、新たな治療の選択肢が必要なのです」と、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長Richard Pazdur医師は言う。また、「Cyramzaは、患者の生存期間を延長し腫瘍増殖の進行を遅らせることがわかっており、治療の新たな選択肢となります」と述べた。
Cyramzaの安全性および有効性は、切除不能または転移がみられた胃癌患者または食道胃接合部腺癌患者355人を対象とした臨床試験で評価された。試験参加者の2/3がCyramza、残りの1/3がプラセボを投与された。この試験は患者が死亡するまで生き延びた期間(全生存期間)を評価するデザインであった。
試験の成績から、Cyramza投与群では全生存期間中央値が5.2カ月、プラセボ投与群では3.8カ月であった。また、Cyramza投与群では腫瘍増殖の遅れ(無増悪生存期間)がプラセボ投与群患者と比較して長かった。Cyramza+パクリタキセル(他の抗癌剤)の併用投与とパクリタキセル単剤投与について、有効性の比較評価を行った2つ目の試験の成績からも、全生存期間の改善がみられた。
Cyramza投与群で試験中にみられた主な副作用は、下痢や高血圧などであった。
FDAはCyramzaについて優先審査プログラムで審査を行った。これは新薬承認申請の時点で、重篤な病態の治療において安全性、有効性に有意な改善をもたらすことが期待される薬剤を迅速に審査するプログラムである。本剤は希少な疾患または病態の治療の目的で、希少疾病用医薬品にも指定された。
Cyramzaは、米国インディアナポリスに拠点を置くイーライリリー社により製造販売されている。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)[原文]
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)[原文]
FDA: Drug Innovation (薬剤のイノベーション)[原文]
NCI: Stomach Cancer (胃癌)[原文]
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菅原宣志 訳
畑 啓昭(京都医療センター・消化器外科)監修
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