S-1とシスプラチンの併用は進行胃癌に有効

キャンサーコンサルタンツ
2008年2月

進行胃癌の治療において、S-1とPlatinol®(シスプラチン)の併用投与はS-1単独投与よりも有効であることを日本の研究者らが報告した。この研究の詳細は2008年2月18日付のLancet Oncology誌オンライン速報版に掲載された。

S-1は体内で5-フルオロウラシル(5-FU)に変換される経口剤であり、5-FU濃度の低下を抑制するギメラシル、および5-FUに起因する胃腸管系への副作用を軽減するオテラシルも含む。S-1は数種類の癌に対して有効性を示しており、日本では広く用いられている。米国内では未承認で、第3相臨床試験が進行中である。

日本の研究者らが以前に発表した、S-1を用いた胃癌のアジュバント治療(術後補助療法)に関する臨床試験結果(関連ニュース略)によると、3年全生存率はS-1治療を受けた患者では80%、外科手術のみを受けた患者では70%であった。S-1に関連する副作用として悪心、下痢、および体重減少があった。

この試験においては、進行胃癌患者305名がS-1単独投与による治療、またはシスプラチンとS-1併用投与による治療のいずれかに無作為に割り付けられた。生存期間の中央値は、S-1とシスプラチン併用投与群では13ヶ月、S-1単独投与群では11ヶ月であった。無進行生存期間は併用投与群では6ヶ月、単独投与群では4ヶ月であった。評価可能な患者における奏功率は併用投与群では54%、単独投与群では31%であった。S-1を投与した群では治療関連毒性は高かったが、治療関連死亡はみられなかった。この研究者らはS-1+シスプラチン併用が胃癌の標準的な一次治療となることを示唆した。

コメント:S-1は胃癌治療において非常に有効な製剤といえる。胃癌の発症率は、米国内ではさほど高くないが日本では非常に高く、このことが胃癌の新規治療法の開発において日本が米国に先行しているゆえんであろう。米国内ではS-1の開発が遅れているというのは驚くべきことである。

参考文献:
Koizumi W, Narahara H, Hara T, et al. S-1 plus cisplatin versus S-1 alone for the first-line treatment of advanced gastric cancer (SPIRITS trial): a phase III trial. Lancet Oncology. 2008;

※サイト内関連記事:NCI臨床試験結果記事参照

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翻訳担当者 河原 恭子

監修 林 正樹

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