遠隔転移のない進行胃癌に対する標準的なD2切除とD2切除に傍大動脈リンパ節郭清(PAN)を追加する切除法を比較する第三相試験
亜分類:食道、胃、小腸癌
分類:消化器癌(大腸を除く)
会議:2006年度ASCO年次総会
アブストラクトNo.:LBA4015
引用:Journal of Clinical Oncology, 2006 ASCO Annual Meeting Proceedings Part 1. Vol 24, No. 18S(June 20 Supplement), 2006: LBA4015: 4
著者: M. Sasako, T. Sano, S. Yamamoto, A. Nashimoto, A. Kurita, H. Furukawa, T. Tsujinaka, T. Kinoshita, K. Arai, 日本臨床腫瘍研究グループ(jcog)
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アブストラクト
背景:
INT-0116研究では胃癌のR0切除後の放射線化学療法が有効であり、それに従い、局所管理の重要性とD0/1手術が不十分であることが証明された。最近、台湾のランダム化比較対照試験において、D1手術と比較してD2手術が生存率を向上することがはじめて証明された(Lancet Oncol 2006)。我々の研究では、ランダム化比較対照試験にてD2+傍大動脈リンパ節郭清(PAND)とD2切除(単独)の比較を行った。手術死が低いことは報告されており(Sano et al. J Clin Oncol 2004)、今回我々はその生存率の結果を発表する。
方法:
適格基準は以下とする:組織学的に腺癌と診断されたもの、cT2b-T4、cM0、傍大動脈リンパ節に肉眼上の転移が認められないもの、腹腔洗浄細胞診にて陰性、十分な臓器機能が保たれているもの、そして76歳未満。形成性胃組織炎は除外した。適格患者は術中においてD2のみ、もしくはD2+PANDへ無作為に割り付けられた。すべての患者は再発まで補助療法なしで経過観察を行った。主要評価項目は層別ログランク検定において比較された全生存率とした。この研究では各群256人の適格患者を想定し、片側検定α0.05でD2に対するD2+PANDのハザード比0.73を検出するための検出力を75%とした。
結果:
1995年7月から2001年4月にかけて、523人の患者がランダム割り付けされた(D2群263人、D2+PAND群260人)。治療前の患者特性は両方の群においてバランスが取れていた。2006年3月23日の最終分析時において、191人(D2群96人、D2+ PAND群95人)が死亡していた。3年および5年生存率はD2群ではそれぞれ76%、69%、D2+PAND群では76%、70%であった(p=0.57、ハザード比1.03(95%CI:0.77-1.37))。無病生存期間は両群間では差が見られなかった。手術時間中央値はD2よりD2+PAND群が、63分長く、失血量中央値は230ml多かった。主要術後合併症ならびに院内死亡率では大きな違いが認められなかった(両群ともに死亡率0.8%)。
結論:
治癒目的に治療された進行胃癌に対して、D2、D2+PANDともに安全に遂行でき、かつ、優れた生存率を示すことができた。しかし、PANDはD2よりも生存率を改善することはできなかった。一般的な使用としてのPANDは避けるべきである。
(根本明日香 訳 瀬戸山修(薬学) 監修 )
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