アバスチンは早期大腸癌に効果を示さない

キャンサーコンサルタンツ
2009年4月

第3相臨床試験の結果によると、術後補助化学療法に分子標的薬アバスチン(ベバシズマブ)を追加しても、早期大腸癌患者の癌再発の危険性は減少しなかった。

この結果はロシュ社のプレスリリースで入手可能である。 アバスチンはVEGFというタンパク質を阻害する分子標的薬である。VEGFは血管新生に重要な役割を果たし、アバスチンはこのタンパク質を阻害することによって癌から栄養分と酸素を奪い、癌の増殖を妨げる。また、血管に対するアバスチンの作用により化学療法薬の腫瘍への送達を改善する可能性がある。

複数の試験で、標準的な化学療法にアバスチンを追加すると、転移性大腸癌患者の治療転帰が改善することが示されている。これらの結果を受け、研究者らは早期大腸癌患者の術後補助化学療法においてアバスチンを評価するための試験を開始した。

今回の結果は、NSABP C-08として知られる第3相試験から得られた。試験ではステージ2または3の大腸癌患者を対象とし、癌を摘出後、術後補助化学療法(mFOLFOX6)のみもしくはアバスチンを追加した術後補助化学療法を行った。 試験の結果、アバスチンを化学療法に追加しても癌再発の危険性は減少しなかった。

この試験の全結果は、2009年5月29日から6月2日に開かれる米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表される予定である。 早期大腸癌におけるアバスチンに関するもう一つの第3相試験(AVANT)の結果は、2010年に公表される予定である。

コメント:この試験の結果は、進行大腸癌でのアバスチンの使用には影響しない。大腸癌の術後補助化学療法でのアバスチンに関する2試験の詳細は興味深い。 参考文献:Roche Media Release. Phase III C-08 study of Avastin in early-stage colon cancer does not meet primary endpoint. 下記サイトで入手可能:

http://www.roche.com/media/media_releases/med-cor-2009-04-22.htm.


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