FDAが遠隔転移を有するMSI-HまたはdMMR大腸がんにイピリマブを承認

2018年7月10日、米国食品医薬品局(FDA)は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンによる化学療法の後に増悪した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)がある、12歳以上の遠隔転移を有する大腸がん(mCRC)患者の治療にニボルマブとの併用でイピリムマブ(商品名:ヤーボイ、Bristol-Myers Squibb Company Inc.社) を迅速承認した。

この新しい用法はニボルマブ(商品名:オプジーボ)の添付文書にも追加された。ニボルマブは2017年7月31日に本適応において単剤として承認されている。

この承認は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンベースの化学療法中または治療後に増悪した82人のdMMRまたはMSI-H があるmCRC患者を登録した、多施設、非ランダム化、複数パラレルコホート、非盲検試験である、CA209142(CHECKMATE 142; NCT02060188)試験の結果に基づいている。腫瘍のdMMRまたはMSI-Hの状態の評価は、各施設の検査機関によって判定された。全ての患者にイピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを3週間ごとに4回静脈内(IV)投与し、忍容できない毒性または画像上での進行が認められるまでニボルマブ3mg/kg単剤を2週間ごとに静脈内投与した。

独立した画像評価委員会がRECIST 1.1に従い判定した結果、82人の患者で、全奏効率(ORR)は、46%(95%信頼区間:35~58%)であり、3人が完全奏効、35人が部分奏効であり、奏効した患者の89%において奏効期間は6カ月以上であった。dMMRもしくはMSI-HのあるmCRC患者で、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンベースの化学療法中もしくは治療後に病状の進行がみられ、ニボルマブ単剤の投与を受けた58人の患者からなる別のコホートでは、ORRが28%であり、奏効した患者の67%で奏効期間が6カ月以上であったが、イピリマブ併用群のORRはこれより高かった。

イピリムマブおよびニボルマブ投与群で最もよくみられた(≧20%)副作用は、疲労、下痢、発熱、筋骨格痛、腹痛、掻痒、悪心、発疹、呼吸困難、食欲減退および嘔吐である。

本適応で推奨される用法は、ニボルマブ3mg/kg静脈内投与後、3週間ごとに4回のイピリムマブ1mg/kgの投与に続き2週間ごとのニボルマブ240mgの投与である。

MSI-HまたはdMMRがみられ遠隔転移のある大腸がんの青年期患者(12歳以上)における有効性は、該当する各成人集団の結果から推定される。

イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の全処方情報はこちらを参照。

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の全処方情報はこちらを参照。

FDAはイピリマブとニボルマブを本適応に対する画期的治療薬として指定し、本申請を優先審査に指定した。迅速承認の条件として、本適応でのイピリムマブおよびニボルマブの臨床的有効性を確定するためにさらなる研究が必要である。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム‐医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 山岸美恵野

監修 中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

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