FDAがニボルマブをミスマッチ修復機能欠損または高頻度マイクロサテライト不安定性の大腸がんに迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)は2017731日、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンによる治療後に進行した、ミスマッチ修復機 能欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を示す12歳以上の 転移大腸がん患者(治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん)の治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ、Bristol-Myers Squibb社)を迅速承認した。

本承認は、各施設でdMMRまたはMSI-Hの遠隔転移を有する大腸がん(CRC)と診断され、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンをベースとした化学療法による前治療において、治療中または治療後に病勢が進行した、または治療に忍容性がなかった患者53人を対象とした多施設共同オープンラベル単群試験である、CA209142試験(CheckMate-142NCT 02060188)のデータに基づいている。これらの患者は、遠隔転移を有する大腸がんの治療としてのフルオロピリミジン+オキサリプラチンまたはイリノテカンの併用を含む、転移性大腸がんに対する前治療を1レジメン以上受けた 患者74人の部分集団であった。許容できない毒性または放射線画像上の進行が認められるまで、すべての患者にニボルマブ3mgkg2週間に1回静脈内投与した。

フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンによる前治療を受けた53人における、RECIST 1.1基準を用いた独立放射線評価委員会の評価による客観的奏効率 ORR)は、28%(n=15)(95% CI: 17, 42)であった。6カ月以上の奏効の継続が、患者の67%(95% CI: 38, 88)で認められた。完全奏効は1人、部分奏効は14人に認められた。全母集団の患者74人における客観的奏効率(ORR)は、32%(n=24)(95% CI: 22, 44)であった。

小児患者を対象としたニボルマブの臨床試験は実施されていない。青年期(12歳以上)のMSI-HまたはdMMRの転移性CRC患者における有効性は、成人集団から得られた結果から推定される。

ニボルマブ 単剤で最も多く見られた副作用(20%以上)は、疲労、皮疹、筋骨格痛、そう痒、下痢、悪心、無力症、咳、呼吸困難、便秘、食欲不振、背部痛、関節痛、上気道感染症、発熱であった。

この適応症に対するニボルマブの推奨用量は、2週間間隔での240mgである。

添付文書情報はこちらを参照のこと:https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/125554s034lbl.pdf

FDAはこの承認申請に優先審査を付与した。迅速承認の条件として、この適応症におけるニボルマブの臨床的ベネフィットを確認するためのさらなる試験が求められている。FDAの迅速化プログラムについての情報は企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている:http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

医療従事者は、あらゆる医薬品および医療機器の使用との関連が疑われるすべての重篤な有害事象を、http://www.fda.gov/medwatch/report.htmから所定の様式でオンライン提出、FAX1-800-FDA-0178)、ホームページ記載の住所に受取人払いで郵送、または電話(1-800-FDA-1088)のいずれかの方法で、FDAMedWatch Reporting Systemに報告すること。

Oncology Center of Excellenceのツイッターのフォローはこちらから@FDAOncology

翻訳担当者 星野恭子

監修 中村 能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

運動で結腸がんサバイバーの生存期間を延長の画像

運動で結腸がんサバイバーの生存期間を延長

ダナファーバーがん研究所が共同で主導した研究により、運動が結腸がんサバイバーの生存期間を延ばし、がんを患っていない人々と同等の生存期間に近づく可能性があることが明らかになった。

ダナファ...
大腸がん、膵がんにおける遺伝子変異がKRAS G12C阻害薬の一次耐性に関与の画像

大腸がん、膵がんにおける遺伝子変異がKRAS G12C阻害薬の一次耐性に関与

フィラデルフィア―KRAS G12C変異を伴う大腸がんと膵管腺がんは、KRAS G12C阻害剤の投与歴がなくとも、KRAS G12C阻害剤への耐性に関連し得るKRAS G12C以外の遺...
大腸がんにエンコラフェニブ+セツキシマブ+mFOLFOX6療法は奏効率を大幅に改善の画像

大腸がんにエンコラフェニブ+セツキシマブ+mFOLFOX6療法は奏効率を大幅に改善

BREAKWATER試験結果第3相BREAKWATER試験では、BRAF V600E変異型転移性大腸がん(mCRC)患者の一次治療として、エンコラフェニブ(販売名:ビラフトビ)...
炎症性腸疾患(IBD)患者の大腸がんリスクをDNA検査が予測の画像

炎症性腸疾患(IBD)患者の大腸がんリスクをDNA検査が予測

ロンドンの英国がん研究所(ICR)の科学者らの研究によると、新しいDNA検査法によって、炎症性腸疾患(IBD)患者のうち大腸がんのリスクが最も高い人を特定できることが判明した。
 
研究チ...