北米植物Oplopanax horridus(アメリカハリブキ)の成分が、マウスモデルやヒトがん細胞による実験で大腸腫瘍の増殖を抑制
2014年7月18日
太平洋岸北西部に分布する低木アメリカハリブキはAlaskan ginsengまたはdevil’s clubと呼ばれることもあるが、この植物から分離された新規の化合物はヒト大腸細胞に対し有益な効果を示すことが実験室での最新の研究から明らかになった。この研究はNutrients誌に発表されており、国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health)による資金の提供を一部受け、シカゴ大学および中国の2つの大学、中南大学とマカオ大学の研究者が参加した。
この研究では、まず、大腸がんのマウスにおいて、oplopantriol Aと呼ばれる化合物がin vivo(細胞内)で腫瘍の増殖を阻止するかどうか試験が行われた。ヒト大腸がんを移植されたマウスにoplopantriol A 15mg/kgまたは30mg/kg、あるいは対照薬が一日おきに投与された。oplopantriol Aを投与されたマウスでは腫瘍の大きさが対照群と比較して著しく縮小した。また、腫瘍増殖の抑制は投与量に関連した。腫瘍増殖の抑制がみられるようになるには3週間を要し、5週目が終わるころには腫瘍サイズの40%以上の縮小が明らかになった。また、有害事象はみられなかった。
研究者らは次に、2種の大腸がん細胞株に対するこの化合物の増殖抑制効果をin vitro(人工的な環境、例えば試験管内)で試験した。がん細胞株のひとつであるHCT-116はoplopantriol Aに対し著しい感受性を示した。この株由来の細胞はp53 wild-typeであったが、もう一つの株由来の細胞(SW-480)ではp53がん抑制遺伝子に変異があった。p53がん抑制タンパク質はがんの形成予防に関与するが、この抑制タンパク質の活性の一部はこの化合物と結びついて抗腫瘍効果を発揮していることがうかがわれる。
参考文献
Zhang Z, Yu C, Zhang C-F, et al. Chemopreventive effects of oplopantriol A, a novel compound isolated from Oplopanax horridus, on colorectal cancer. Nutrients. 2014;6(7):2668–2680.
追加参考文献
Cancer and Complementary Health Approaches
Colorectal Cancer (NCI)
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
大腸がんに関連する記事
BRAF V600E変異大腸がんにエンコラフェニブ療法、FDA承認の根拠
2025年2月18日
BRAF V600E遺伝子変異を有する転移大腸がん(mCRC)患者は、分子標的薬エンコラフェニブ(販売名...
大腸がんの治療指針に役立つAI検査
2025年2月10日
この事実は、大腸がん(結腸直腸がん)において特に重要である。研究者たちは、...
アスピリンは一部の大腸がん患者の再発リスクを低下させる可能性
2025年2月7日
大腸がん関連情報に対するChatGPTの正確性と関連性を検証
2025年1月29日