アスピリンやCOX-2阻害薬の服用者においてIII期大腸がんの治療成果改善

キャンサーコンサルタンツ

アスピリンやシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬を補助化学療法実施前後に服用するIII期大腸がん患者は、がん再発リスクが低いとみられる試験結果がこのほど、Journal of the National Cancer Institute 誌で報告された。

実測的な臨床試験の解析に基づき、アスピリンやCOX-2阻害薬は、早期大腸がん患者治療において成果改善に関与していると、長い間示唆されてきた。

今回の試験で試験者が解析したのは、III期大腸がんについて、以前に異なる化学療法の比較を行ったCALGB(Cancer and Leukemia Group B) 臨床試験に参加した患者のデータである。総体的に、関連データの患者の9.4%がアスピリン服用者で、7.0%はCOX-2阻害薬服用者であった。服用者とは、化学療法期間中および化学療法後6カ月の期間に服用を報告した患者である。

追跡期間中央値6.5年で、COX-2阻害薬もアスピリンも服用しない患者と比較して、服用者はがん再発までの期間および生存期間が延長する傾向を示した。さらに解析結果から、アスピリンに関しては用量と奏効の間に相関関係がある可能性があり、1週間の用量では有益性が増すと示唆された。どちらの薬剤も、心血管系の有害事象や副作用のリスク増加は伴わなかった。

大腸がん治療における予防効果が見込めるアスピリンまたはCOX-2阻害薬の正確な服用量と服用期間は明らかになっていないが、化学療法臨床試験に参加した大腸がん患者の今回の解析は、大腸がん患者のアスピリン服用の利益性を裏づける結果となっている。

CALGB 80702およびASCOLTは、セレコキシブとアスピリンの大腸がんに対する役割を評価するための2つの現在継続中の試験である。大腸がんの化学療法を受けている患者は、アスピリン併用による潜在的リスクと有益性について、主治医と話し合うのが望ましい。多くの患者にとって、アスピリンを別の理由で毎日服用することは確かに有益である。しかし、特にさまざまな胃腸状態のために、患者の中には、アスピリンで体調を悪化させる人もいる。患者は服用している非処方薬やサプリメントを常に医師に伝えておくべきである。

参考文献:
Ng K, Meyerhardt J, Chan A, et al. Aspirin and COX-2 Inhibitor Use in Patients With Stage III Colon Cancer. Journal of National Cancer Institute. (2015) 107 (1): dju345 doi: 10.1093/jnci/dju345.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 大木勝弥

監修 峯野 知子(分子薬化学/高崎健康福祉大学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

高用量ビタミンD3に遠隔転移を有する大腸がんへの上乗せ効果はないの画像

高用量ビタミンD3に遠隔転移を有する大腸がんへの上乗せ効果はない

研究要約研究タイトルSOLARIS(アライアンスA021703): 治療歴のない遠隔転移を有する大腸がん患者を対象に、標準化学療法+ベバシズマブにビタミンDを追加投与す...
リンチ症候群患者のためのがん予防ワクチン開発始まるの画像

リンチ症候群患者のためのがん予防ワクチン開発始まる

私たちの資金援助により、オックスフォード大学の研究者らは、リンチ症候群の人々のがんを予防するワクチンの研究を始めている。

リンチ症候群は、家族で遺伝するまれな遺伝的疾患で、大腸がん、子宮...
マイクロサテライト安定性大腸がんに第2世代免疫療法薬2剤併用が有効との初の報告の画像

マイクロサテライト安定性大腸がんに第2世代免疫療法薬2剤併用が有効との初の報告

ダナファーバーがん研究所研究概要研究タイトル再発/難治性マイクロサテライト安定転移性大腸がんに対するbotensilimab + balstilimabの併用:第1相試...
PIK3CA変異大腸がんでセレコキシブにより再発リスクが低下する可能性の画像

PIK3CA変異大腸がんでセレコキシブにより再発リスクが低下する可能性

ステージ3の大腸がん患者を対象としたランダム化臨床試験のデータを解析したところ、PIK3CA変異のある患者が手術後に抗炎症薬であるセレコキシブを服用すると、変異のない患者よりも有意に長...