セツキシマブは大腸癌の初期治療においてベバシズマブより優れている可能性

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遠隔転移を有する大腸癌患者の治療において、標準的一次FOLFIRI化学療法とセツキシマブ(アービタックス)の併用は、FOLFIRIとベバシズマブ(アバスチン)の併用に比べ、患者の生存期間を延長することを示す第3相FIRE試験結果がこのほど、Lancet Oncology誌に掲載された。

本研究はオーストリアとドイツにある116のがんセンターにて、FOLFIRIとセツキシマブまたはベバシズマブとの併用治療を受けたKRAS2野生型大腸癌患者592人のデータを解析した。これは上述の2つの治療レジメンを直接比較した初のランダム化臨床試験である。

全奏効率と治療期間は両患者群とも同等であった。治療から約3年間追跡調査したところ、セツキシマブ併用治療群とベバシズマブ併用治療群ともに無増悪生存期間中央値は10カ月であった。しかし、全生存期間中央値はセツキシマブ併用治療群の方が長く、ベバシズマブ併用治療群25カ月に対してセツキシマブ併用治療群は28.7カ月であった。

エクソンにRAS変異が認められない患者のサブグループ解析においては、生存期間中央値がベバシズマブ併用治療群25.6カ月に対してセツキシマブ併用治療群33.1カ月とさらに差が拡大した。

著者らは、RAS野生型の遠隔転移を有する大腸癌患者に対する一次治療レジメンとしてFOLFIRI+セツキシマブ併用治療を選択するべきであると結論づけた。

参考文献:

Heinemann V, von Wekersthal L, Decker T, et al. FOLFIRI plus cetuximab versus FOLFIRI plus bevacizumab as first-line treatment for patients with metastatic colorectal cancer (FIRE-3): a randomised, open-label, phase 3 trial. The Lancet Oncology. Volume 15, No. 10, p1065–1075, September 2014.


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翻訳担当者 佐藤美奈子

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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