高用量ビタミンD3に遠隔転移を有する大腸がんへの上乗せ効果はない

研究要約

研究タイトル

SOLARIS(アライアンスA021703): 治療歴のない遠隔転移を有する大腸がん患者を対象に、標準化学療法+ベバシズマブにビタミンDを追加投与する多施設共同二重盲検第3相ランダム化臨床試験

発表

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2024:アブストラクトLBA26

著者(ダナファーバーがん研究所)

Kimmie Ng 医師/公衆衛生学修士、Nadine McCleary 医師/公衆衛生学修士、Jeffrey A. Meyerhardt 医師/公衆衛生学修士

要約

ダナファーバーがん研究所の研究者が主導し、米国内の数百のがんセンターで実施された二重盲検ランダム化第3相臨床試験では、未治療の遠隔転移を有する大腸がん患者を対象に、標準治療へ高用量ビタミンD3を追加投与することによる上乗せ効果が検証された。450人以上の患者が標準化学療法とベバシズマブ(販売名:アバスチン)の投与を受け、高用量ビタミンD3投与群と標準用量ビタミンD3投与群に無作為に割り付けられた。研究チームによれば、高用量ビタミンD3の追加による副作用や毒性は認められなかった。しかし、標準治療に高用量ビタミンD3を追加しても、中央値20カ月の追跡調査後の解析によると、標準用量のビタミンD3よりもがんの進行を遅らせることはできなかった。高用量ビタミンD3による潜在的利益が、左側疾患(すなわち、下行結腸、S状結腸、直腸に発生した原発腫瘍)の患者に認められたが、さらなる調査が必要である

意義

SOLARIS試験は、血中ビタミンD濃度が高いほど遠隔転移を有する大腸がんの生存率が改善し、標準療法に高用量ビタミンD3を追加投与することで無増悪生存期間が改善する可能性があることを示唆する先行研究からヒントを得て実施された。しかし、SOLARIS試験の結果は、未治療の遠隔転移を有する大腸がん患者に対する治療法として高用量ビタミンD3を推奨できないことを示唆している。

資金提供

米国国立がん研究所(NCI)、Pharmavite

  • 監訳 大野 智(補完代替医療/島根大学 臨床研究センター)
  • 記事担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2024/09/15

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