マイクロサテライト安定性大腸がんに第2世代免疫療法薬2剤併用が有効との初の報告

ダナファーバーがん研究所

研究概要

研究タイトル

再発/難治性マイクロサテライト安定転移性大腸がんに対するbotensilimab + balstilimabの併用:第1相試験

掲載紙

Nature Medicine誌、2024年6月13日

著者(ダナファーバーがん研究所)

Benjamin L. Schlechter医師、共同筆頭著者

要約

さまざまながんに対する免疫療法薬が大きく進歩しているにもかかわらず、最も多いタイプであるマイクロサテライト安定性(MSS)大腸がんに対する免疫療法薬は依然として効果がない。今回、研究者らは、化学療法に抵抗性を示すMSS大腸がんに対する免疫療法薬の初めての安全かつ有効な使用について報告した。第1相臨床試験では、73%の患者が免疫チェックポイント阻害薬 botensilimab[ボテンシリマブ]と balstilimab[バルスチリマブ]の併用療法により恩恵を受けたが、その恩恵は活動性肝転移のない患者に限られていた。患者の4分の1近くが治療に大きな効果を示した。

意義

この臨床試験の結果は、MSS 大腸がん(最も多いタイプの大腸がん)の患者に対して免疫療法薬が初めて安全かつ効果的に使用されたことを示すものである。この第1相試験の有望な結果を受けて、研究者らはこの免疫療法薬を併用した第3相試験を進めることになった。Schlechter氏とダナファーバーの研究者らは、この第3相試験で主導的役割を果たすことになる。

資金提供

この試験はAgenus, Inc.からの資金提供を受けて実施された。

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2024/06/25

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