転移性大腸癌に対するイットリウム90放射性マイクロスフィア治療の結果予測
キャンサーコンサルタンツ
転移性大腸癌に対する選択的内部放射線療法の前に行う検査は治療効果予測において重要な役割を果たす可能性があることが、米国臨床腫瘍学会の2014年消化器癌シンポジウム(ASCO-GI)で発表された。また、放射性微小球の送達を高める新しいモデリング技術が治療の成功率を向上させるとの発表もあった。
放射線塞栓療法としても知られる選択的内部放射線療法は、放射線を腫瘍部位に直接送達するもので、手術不能な肝臓癌の治療に用いられている。低侵襲であるこの治療は、イットリウム90放射性マイクロスフィア(SIRスフィア)と呼ばれる微小球を数百万単位でカテーテル経由で肝臓に注入でき、通常の放射線療法より40倍高い内部放射線量を肝臓腫瘍に選択的に照射するため、健康組織への影響を回避することが可能になる。
転移性大腸癌の患者は、複数の化学療法治療に奏効しなくなると、標準的な治療法の選択肢がない。臨床試験では、イットリウム90放射性マイクロスフィアによる治療を受けた転移性大腸癌患者では他の治療方法よりも高い奏効率が得られ、その結果、生存期間の延長、腫瘍活性がない期間の延長、そして生活の質の向上が確認されている。またSIRTは、単独の化学療法に比べてより肝臓腫瘍を縮小することがわかっている。
MORE(Metastatic colorectal cancer liver metastases Outcomes after Radio Embolization)試験:転移性大腸癌における放射線塞栓後の肝転移の結果)は、606人からのデータを含む、もっとも大規模な放射線塞栓試験の一つである[1]。後方視的な再調査では、治療開始10日前に計測されたヘモグロビン、アルブミン、アルカリフォスファターゼ、AST、ALT、総ビリルビン、クレアチニンの値を確認した。
SIRT施行後8.5カ月の追跡期間中央値において、患者の11%未満が推奨されたガイドライン外の治療を受けていたことがわかった。これらの患者には、SIRT治療時にグレード2のアルブミン減少がもっとも多くみられた。検査データの異常は、統計的にも明らかな生存期間中央値の減少と関連していた。研究者らは、SIRT治療に先立って検査データの異常値が明らかになれば、最適な治療効果を得ることが可能になり、生存期間中央値の改善に役立つ可能性があると結論づけた。
もう一つの試験では、研究者らはイットリウム90放射性マイクロスフィアが永久的に埋め込まれることになる肝動脈経路と腫瘍微小血管床の複合モデリング技術を用いた[2]。このモデリング技術を使うことで、マイクロスフィアが腫瘍動脈終末に取り込まれる経路をより正確にたどることが有望であり、治療の成功率を改善する可能性を示している。研究者らは、予測モデリング技術を用いれば、マイクロスフィアが肝動脈中のカテーテルからその最終部位である腫瘍末端の細動脈に到達することが可能になり、すなわち全身療法が可能になるだろうと結論づけた。
両試験はSIRT患者の結果を改善することを目的とし、SIRT送達の正確さの程度を高めるための見識を与えるものである。
引用文献
[1] Kennedy AS, Ball D, Cohen SJ, et al: Pre-90Y hepatic radiotherapy hemoglobin and liver functions predict overall survival in unresectable chemotherapy refractory metastatic colorectal cancer. ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium 2014; Abstract 292.
[2] Kennedy A, Clipp R, Christensen D. First in man fractal methodology to model both the hepatic arterial tree and tumor microvasculature for 90y-microsphere brachytherapy. ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium 2014; Abstract 248.
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