アービタックス、3期大腸癌に効果を示さず

キャンサーコンサルタンツ

3期結腸癌患者で、術後補助化学療法にアービタックス(セツキシマブ)を追加しても、その予後は改善されなかった。これらの結果は、Journal of the American Medical Association誌上で発表された。

3期大腸(結腸)癌は、結腸周辺のリンパ節に転移しているが、他臓器には転移していない癌である。

アービタックスは分子標的薬で、多くの癌細胞の表面に存在するタンパク質である上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)の一部に結合して、癌細胞の増殖を阻害する。アービタックスは現在、進行頭頸部癌や進行大腸癌患者の一部の治療に対して承認されている。

転移性大腸癌患者で、アービタックスに対する反応は、大腸癌細胞内のKRAS遺伝子変異の有無によって異なるとされる。アービタックスはKRAS遺伝子変異型患者に対して効果を示さないとされる。一方、KRAS遺伝子野生(正常)型患者に対しては効果を示すとされている。KRAS遺伝子野生型の転移性大腸癌患者でのアービタックスの効果により、KRAS遺伝子野生型の、より早期の大腸癌患者でのアービタックスの役割への関心が引き起こされた。

3期結腸癌患者に対するアービタックスの効果を評価するために、北米で同病患者2,686人を対象にした第3相試験が実施された。患者は術後に、化学療法であるmFOLFOX6療法患者とmFOLFOX6+アービタックス療法患者に割り付けられた。

  • KRAS遺伝子野生型患者で、mFOLFOX6療法患者の3年無病生存率は74.6%、一方、mFOLFOX6+アービタックス療法患者の3年無病生存率は71.5%であった。
  • KRAS遺伝子変異型患者で、mFOLFOX6療法患者の3年無病生存率は67.1%、一方、mFOLFOX6+アービタックス療法患者の3年無病生存率は65.0%であった。
  • アービタックスの追加により、重篤な副作用が増えた。

 これらの結果から、術後補助化学療法にアービタックスを追加しても、3期結腸癌患者の転帰は改善されないことが示唆される。転移性大腸癌患者で認められた効果は、より早期の大腸癌患者には適合しないことがある。

参考文献:

Alberts SR, Sargent DJ, Nair S et al. Effect of oxaliplatin, fluorouracil, and leucovorin with or without cetuximab on survival among patients with resected stage III colon cancer. JAMA. 307:1383-1393.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 渡邊 岳

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

BRAF V600E変異大腸がんにエンコラフェニブ療法、FDA承認の根拠の画像

BRAF V600E変異大腸がんにエンコラフェニブ療法、FDA承認の根拠

MDアンダーソンニュースリリース 2025年1月25日アブストラクト16

BRAF V600E遺伝子変異を有する転移大腸がん(mCRC)患者は、分子標的薬エンコラフェニブ(販売名...
大腸がんの治療指針に役立つAI検査の画像

大腸がんの治療指針に役立つAI検査

がんは治療が複雑で難しい病気であるが、がんを阻止する最も強力な手段の一つは私たちの中にあるもの、免疫系である。

この事実は、大腸がん(結腸直腸がん)において特に重要である。研究者たちは、...
アスピリンは一部の大腸がん患者の再発リスクを低下させる可能性の画像

アスピリンは一部の大腸がん患者の再発リスクを低下させる可能性

ASCOの見解(引用)「『朝、アスピリンを2錠飲んでから電話して』という古い言い回しは、今や新たな意味を持つかもしれません。PI3Kシグナル伝達経路の遺伝子変異は大腸がん患者の...
大腸がん関連情報に対するChatGPTの正確性と関連性を検証の画像

大腸がん関連情報に対するChatGPTの正確性と関連性を検証

ASCO の見解(引用)「この研究は、人工知能が患者の関心を高め、情報に基づいた意思決定をサポートすることができ、医療へのアクセスの格差に対処できる可能性があることを実証してい...