Xaliproden オキサリプラチンの末梢神経障害リスクを軽減

キャンサーコンサルタンツ
2006年2月

2006年ASCO/ASTRO消化器癌シンポジウムでの発表によれば、まだ臨床試験中であるがxaliproden剤は、結腸直腸癌患者の化学療法剤であるエロキサチン(Eloxatin®、Oxaliplatin)に多い副作用である末梢神経障害リスクを軽減すると見られる。

エロキサチンは、結腸直腸癌治療のための化学療法剤として通常使用される。エロキサチンに多い副作用は末梢神経障害である。末梢神経障害が重篤な場合エロキサチンを減量するが、減量投与や治療の遅延は最適な治療結果が得られなくなる場合が多い。したがって最適な治療への到達と長期予後改善のためには、副作用の防止とその重篤性の低減が必要不可欠である。さらに、末梢神経障害は慢性化のおそれがあり、長期生存患者のクオリティ・オブ・ライフに影響を与える。

近年,スコットランドの研究者達は、xaliproden(SR57746A)の第3相臨床試験を実施し,結腸直腸癌治療においてエロキサチン併用時のxaliproden(SR57746Aの効果を評価した。xaliproden(SR57746A)は、生体内および試験管実験で幅広い神経栄養効果を示す非ペプチド化合物である。最近、この薬剤は筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病に対して中等度の効果が見られた。

本臨床試験には、FOLFOX(5-フルオロウラシル、エロキサチン、ロイコボリン)という併用化学療法を受けている、転移性結腸直腸癌患者749名が含まれた。患者の約半数にxaliprodenが投与され、残りの半数にプラセボ投与が行われた。

  1. ・ Xaliproden投与患者は、非投与患者と比較しグレードⅢの神経障害を罹患する傾向が約40%低かった。
  2. ・  重篤な末梢神経障害が原因でFOLFOX治療中止を要したのは、xaliproden投与患者のほうがプラセボ投与患者よりも少なかった(13.5%対17.3%)。
  3. ・  2つのグループ間で抗癌反応の割合に差異は見られなかった。すなわちxaliproden/FOLFOX投与患者でほぼ45%、FOLFOXのみ投与患者で42.6%であった。
  4. ・ 化学療法単独の治療患者と比較し、xaliproden投与患者の下痢増加率はほぼ3%、肺塞栓増加率は約2%であった。しかし好中球減少は、xaliproden投与患者グループで5%近く低下した。 

上記研究者達は、エロキサチンを含む治療にxaliprodenを追加すると、末梢神経障害の発生率低下とその重症度の軽減が見られる、との結論を下した。この所見確認のためにさらに臨床試験を行う必要があるが、長期生存の改善にともないQOL問題は、取り組むべき重要な課題となっている。

コメント

上記は非常に重要な所見であり、確認されれば神経毒性化学療法剤に対する予防薬の提供が可能になる。


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翻訳担当者 Chachan

監修 Jobim

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