パニツムマブはKRAS変異型に有益でなく、例外はない
試験は、ある変異癌がセツキシマブに反応することを示唆する知見と矛盾する。
Caroline Helwick
2011年11月1日、2巻16号
パニツムマブ(ベクチビクス)による治療を、KRA野生型(正常)の転移性大腸癌患者に制限する必要性が、2011年の欧州合同癌会議(EMCC)で発表された試験で支持された。最も一般的なKRAS変異型癌に対し薬剤の有益性がないことが、研究で示された1。
「最も一般的なコドン12または13のいずれかに変異をもつKRAS変異型の転移性大腸癌患者へのパニツムマブ治療は、有益ではないとみられる」と、ベルギーのエデゲムにあるアントワープ大学附属病院のMark Peeters医学博士は述べた。「野生型KRASがある患者のみが、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤で治療されるべきである。」
興味深いことにKRAS変異状態によるデータの解析は、セツキシマブ(アービタックス)の試験におけるKRAS変異に関する最近の知見と矛盾している。De Roockと共同研究者は、セツキシマブで治療したKRAS G13D変異がある患者は、他のKRAS変異がある患者に比べて、実際に全生存および無増悪生存期間が長いことを示した2。そして2011年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会でTejpar氏らは、G13D変異は、未治療患者の予後が不良であること、および一次治療のセツキシマブが有効であることの双方に関連すると報告している3。これはつまりセツキシマブがG13D変異の化学療法単独での不良な予後を覆せるということだ、とフランスのパリデカルト大学のPierre Laurent-Puig医学博士は指摘した。Pierre Laurent-Puig医学博士はまた、EMCCでPeeters博士の知見についても討議した。
パニツムマブの3つの第3相試験
転移性大腸癌におけるパニツムマブとG13D変異
・パニツムマブの3つの第3相試験の後ろ向き解析から、個別のKRAS遺伝子変異は予後に一致して関与しないことがわかった。
・この知見は、コドン12および13にG13D変異がある患者に抗EGFR阻害剤が有益である最近の報告と矛盾した。
・野生型KRASの患者にのみ、パニツムマブが投与されるべきである。
Peeters博士は、パニツムマブと一次治療のFOLFOX4(ロイコボリン、フルオロウラシル[5-FU]、オキザリプラチン)、二次治療のFOLFIRI(ロイコボリン、5-FU、イリノテカン)、または最良の支持療法(単独治療)との併用による第3相試験で治療された患者の後ろ向き解析結果を発表した。コドン12および13の最も一般的な7つのKRAS変異(KRAS G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D)により、患者が選択された。
「まとめると、変異KARSコドン12および13遺伝子は、転移性大腸癌における抗EGFR抗体に対し反応がないことの確立された生物指標である。我々は、3つの第3相試験における個別のコドン12および13 KRAS変異の予後および予側への影響を明らかにした。」と、Peeters博士は述べた。
変異したKARSコドン12および13遺伝子は癌の40%から45%に検出され、割合は試験でも一定であり、各治療群で均等に釣り合いがとられていた。
KRAS変異遺伝子と成績
予後効果が示される対照群で、個別の変異遺伝子は無増悪または全生存成績に一致して関連しなかった。
「より重要なことは予測効果であり、3試験すべてに無増悪または全生存成績に一致して関連する個別のKRAS遺伝子変異はない。」と、Peeters博士は述べた。
試験20050203(パニツムマブ+FOLFOX)のみで、予後に有意に関連する2つの個別の変異遺伝子があった。パニツムマブ群でG12Vは全生存と良く関連し(p=0.0369)、G13Dは全生存とは良くなく関連した(p=0.0018)。統合解析で、G12Aは全生存に対しパニツムマブ治療が逆相関する唯一の変異遺伝子であった。
開示:Peeters博士はアムジェンとの関係を明らかにした。Laurent-Puig博士はメルクセローノおよびアムジェンから謝礼を受けとった。
参考文献
1. Peeters M, Douillard JY, Van Cutsem E, et al: Evaluation of individual codon 12 and 13 mutant (MT) KRAS alleles as prognostic and predictive biomarkers of response to panitumumab (pmab) in patients with metastatic colorectal cancer (mCRC). 2011 European Multidisciplinary Cancer Congress. Abstract 33LBA. Presented September 25, 2011.
2. De Roock W, Jonker DJ, Di Nicolantonio F, et al: Association of KRAS p.G13D mutation with outcome in patients with chemotherapy-refractory metastatic colorectal treated cancer with cetuximab. JAMA 27:1812-1820, 2010.
3. Tejpar S, Bockemeyer C, Celik I, et al: Influence of KRAS G13D mutations on outcome in patients with metastatic colorectal cancer treated with first-line chemotherapy with or without celuximab. 2011 ASCO Annual Meeting, Abstract 3511. Presented June 4, 2011.
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
大腸がんに関連する記事
高用量ビタミンD3に遠隔転移を有する大腸がんへの上乗せ効果はない
2024年10月22日
リンチ症候群患者のためのがん予防ワクチン開発始まる
2024年11月5日
リンチ症候群は、家族で遺伝するまれな遺伝的疾患で、大腸がん、子宮...
マイクロサテライト安定性大腸がんに第2世代免疫療法薬2剤併用が有効との初の報告
2024年8月12日
PIK3CA変異大腸がんでセレコキシブにより再発リスクが低下する可能性
2024年7月5日