緑茶エキスに結腸直腸腺腫を低下させる可能性

キャンサーコンサルタンツ
2008年11月

緑茶抽出物に再発性の結腸直腸腺腫の発生率を低下させる可能性があると日本の研究者から報告された。本研究の詳細は、Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌の2008年11月号に掲載された。[1]

実証研究では、茶や茶ポリフェノール、茶フラボノイドに抗癌作用があることが示された。緑茶消費量と結腸大腸癌のリスク低下の関連性を示した試験もある。[2]しかし、全ての疫学的研究が、そのような関連性を示しているわけではない。[3]

本試験では、大腸ポリープを切除し、1年後にポリープ陰性だった136人で緑茶エキス対プラセボを評価した。2回目の大腸内視鏡検査時にポリープが検出されなかった患者は、緑茶エキス1.5g/日を12ヶ月服用する群(緑茶エキス摂取群)と何も服用しない群(対象群)に無作為に割り付けられた。1年後の大腸内視鏡検査でのポリープ発生率は、対象群が31%、緑茶エキス摂取群が15%であった。さらに、再発したポリープの大きさは、対象群よりも緑茶エキス摂取群の方が小さかったと著者らは報告している。

コメント:

本研究は治療群に定量化された緑茶エキスを用いることが大きな利点となった均質で整った条件設定の試験とみられ、緑茶の効能が示された初めての研究であろう。

参考文献:

1 Shimizu M, Fukutomi Y, Ninomiya M, et al. Green tea extracts for the prevention of metachronous colorectal adenomas: A pilot study. Cancer Epidemiology Biomarkers and Prevention. 2008;17:3020-3025.
2 Yang G, Shu XO, Li H, et al. Prospective cohort study of green tea consumption and colorectal cancer risk in women. Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention. 2007;16:1219-1223.
3 Sun CL, Yuan JM, Koh WP, et al. Green tea and Black tea consumption in relation to colorectal cancer risk: the Singapore Chinese Health Study. Carcinogenesis 2007;28:2143-2148.


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翻訳担当者 廣井 初美

監修 中村 光宏(医学放射線)

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