デノスマブの投与は骨転移癌患者における骨関連事象の発現を遅らせる
キャンサーコンサルタンツ
2009年9月
多施設第3相試験を行っている研究者らの報告によると、デノスマブは骨転移を有する癌患者での骨関連事象(SRE)の発現を遅らせることにゾメタ® (ゾレドロン酸)と少なくとも同等の効果を示す。本試験の詳細は9月20日からベルリンで行われた第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の最新演題として発表された[1]。
デノスマブは完全ヒトモノクロナール抗体で、骨リモデリングにおける骨吸収の主要メディエータであるNFκB活性化受容体リガンド(RANKL)を特異的に標的とする。デノスマブは骨粗鬆症や治療誘導性骨量減少、関節リウマチ、骨転移、多発性骨髄腫など様々な疾病で試験が進められている。女性の閉経後骨粗鬆症の治療と予防、また乳癌あるいは前立腺癌のためにホルモン除去を行った患者における骨量減少の治療と予防にデノスマブを投与するため、最近、生物製剤承認申請書(biologics license application、BLA)が米国食品医薬品局(FDA)に提出されたところである。
本試験は固形腫瘍または多発性骨髄腫からの骨転移を有する1776人を対象に行われた。前立腺癌または乳癌の患者は本試験から除外した。患者をデノスマブあるいはゾメタを投与する群に無作為に割り振り、主要エンドポイントは本試験で対象とするSREが最初に発生するまでの時間とした。最初のSRE発現までに要した時間は、デノスマブ投与患者では20.6カ月、ゾメタ投与患者では16.3カ月であった。しかし、これはデノスマブのゾメタを上回る優越性について統計学的に有意な差ではなかった(p=0.06)。最初と次の二度目のSRE発現までの合わせた時間も、両群間で有意差は認められなかった(p=0.14)。最初の本試験対象SRE発現または高カルシウム血症の発現までの時間は、デノスマブ群で19.0カ月、ゾメタ群で14.4カ月であった(p=0.02)。疼痛の増悪がデノスマブ群で57日後に起こったのに対し、ゾメタ群では36日後であった。副作用の発現については両剤で同等であり、全生存率は両治療群で類似していた。顎骨壊死がデノスマブ投与群で10例、ゾメタ投与群で11例に起こった。
コメント:
これらデータから、固形腫瘍または多発性骨髄腫からの骨転移の対症療法にデノスマブは少なくともゾメタと同等の効果があり、また優れた成績が得られる可能性があることが示唆される。残念ながら顎骨壊死が両剤で同等の頻度で発生した。顎骨壊死は治療において最も苦痛を伴う副作用である。
参考文献:
[1] Henry D, vib Niis R, Vadhan-Raj S, et al. A double blind randomized study of denosumab versus zoledronic acid for the treatment of bone metastases in patients with advanced cancer (excluding breast and prostate cancer) and multiple myeloma). European Journal of Cancer Supplements. 2009;7:11, abstract number 20 LBA.
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