遺伝カウンセラーとの面談での心得
2015年1月 Cancer.Net編集委員会承認
【要点】
• 遺伝カウンセラーは、遺伝性がんリスクの特定や対応について、あなたや家族を支援できるように特別な訓練を受けています。
• 家族のがん罹患歴についての情報があると、遺伝カウンセラーはより効果的な助言ができます。
• 遺伝カウンセラーはあなたやあなたの主治医と一緒に遺伝子検査をコーディネートし、検査結果を説明します。
• お住まいの地域で遺伝カウンセラーを探すのに役立つ情報源があります。
がん遺伝カウンセリングでは、訓練を受けた遺伝カウンセラーが、遺伝性のがんリスクについてあなたと家族が理解出来るように手助けします。 遺伝性がんリスクは親から子へ受け継がれる可能性があります。 遺伝カウンセラーは有用な遺伝子検査について説明します。また、がん検診、予防、治療選択肢についての情報提供および支援をします。
【遺伝カウンセラーのトレーニングと認定】
遺伝カウンセラーは、遺伝医学とカウンセリングの専門教育を受けた医療専門家です。その大半は遺伝カウンセリング修士号取得者です。 看護学、ソーシャルワークなど関連分野の学位を取得している者もいます。 遺伝カウンセラーはthe American Board of Genetic Counselingの認定を受けています。 たいていは州の認可を受けています。他の医療専門職と同様に、認定を維持するためには継続して研修に参加する必要があります。
【遺伝カウンセラーの役割】
遺伝カウンセラーは以下について助言することができます:
• 家族の罹患歴に基づいて、あなたが特定のがん種を発症するリスク
•上述したがん種のリスクに関して詳細情報が得られる遺伝子検査の有効性
• 検査法の限界と遺伝子検査の精度
• 検査結果判明後の感情的、心理的、社会的影響
• がん検診および経過観察オプション
• 予防措置
• 診断と治療選択肢
• 遺伝情報のプライバシー
【遺伝カウンセラーとの面談に備える】
家族のがん罹患歴に関する情報が多いほど、遺伝カウンセリングでより多くの情報が得られます。遺伝カウンセラーからは以下の有益情報を求められる場合があります:
• あなたの診療記録。 これには医師のメモや病理記録が含まれます。 病理記録とは、生検、外科手術、大腸内視鏡検査などの検診の結果です。
•家族一人一人の現年齢、死亡年齢および死因をまとめたリスト。 このリストには、両親、兄弟姉妹、子供、叔父・叔母、甥・姪、祖父母、いとこを入れてください。
• 家族が診断されたことのあるがん種に関する情報。 誰が何歳でがんと診断されたのかを調べておいてください。しばしば病理記録が役に立ちます。
うした情報があることは非常に役に立ちますが、必ずしも必要ではありません。 家族の罹患歴がよく分からないという理由だけで、遺伝カウンセリングを避けないことです。
面談に行く際は、だれかと一緒に来ることを検討してください。同伴者は家族であっても、家族以外の人であってもよく、あなた次第です。 遺伝カウンセラーとは多くの情報を話し合います。同伴者がいることで、あなたは質問をよく聞いて考えられるでしょう。同伴者が家族の一人であれば、その人も家族の罹患歴について情報を提供できるでしょう。
【面談時の心得】
遺伝カウンセラーとの面談でお話しすることは以下のとおりです:
• あなた自身の病歴およびがん検診の受診歴
•家族のがん罹患歴。遺伝カウンセラーは少なくとも3世代分のあなたの家系図を作成し、家族の誰がどのがん種に罹患し、診断時に何歳であったかを記録していきます。
• 遺伝性がんリスクの可能性。 家族の罹患歴の内容によっては、遺伝カウンセラーはコンピュータによるリスク評価ツールを使用してがんリスクの推定ができることもあります。
• あなたと家族に対する遺伝子検査の利益およびその限界
• あなたに最適な遺伝子検査計画
• 遺伝情報のプライバシー保護に関する現行の法律
【面談後の心得】
遺伝カウンセラーは通常、あなたの面談概要書を作成します。概要書のコピーは、あなたと、遺伝カウンセラーを紹介した医師とに手渡されるのが一般的です。 また、遺伝カウンセラーは家族歴に関連する情報を書面で提供してくれる場合もあります。 状況によっては、あなたや他の家族が調査またはスクリーニング研究の対象として適していると判断される場合があります。 遺伝カウンセラーはそうした研究に関する情報提供と、必要な調整の手助けをします。
遺伝子検査を選択すると、遺伝カウンセラーは検査機関と協力して、検査費用が医療保険で支払われるのかどうかを調査するなど、詳細調整の手助けをしてくれます。 検査結果が出ると、カウンセラーはあなたと一緒に結果を見て、内容の理解を助けます。
長期間にわたり、遺伝カウンセラーはあなたと家族の情報源であり続けます。ご不明な点がある場合、または家族のがん罹患歴に変更があった場合は、カウンセラーに連絡することが重要です。
【遺伝カウンセラーを探す】
お住まいの地域の遺伝カウンセラーを探すには、医師に紹介してもらうか、またはNational Counselors and National Cancer Instituteデータベースを検索してください。
追加情報
遺伝子検査
家族と遺伝子検査結果を共有する
がんリスクの理解
(*監修 者注:本邦では、14の大学院で認定遺伝カウンセラー養成課程(修士)が開設されています。養成課程大学院修了後、日本人類遺伝学会及び日本遺伝カウンセリング学会の共同による資格試験合格者に「認定遺伝カウンセラー」資格が授与されています。
詳しくは認定遺伝カウンセラー制度委員会まで)
=====
Cancer.NET 遺伝性がん日本語訳シリーズ:
がんと遺伝子
遺伝子検査でがんリスクを調べる
家族のがん既往歴を収集して主治医と共有する必要性
遺伝カウンセラーとの面談での心得
遺伝性がん関連症候群の一覧
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
その他のがんに関連する記事
まれな唾液腺がん(ACC)にアキシチニブ+アベルマブ併用が有望
2023年4月30日
PREMMplusオンラインツールで遺伝的がんリスク検査が有効な人を特定
2022年9月26日
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は一部の神経内分泌腫瘍(NET)に有効な可能性
2022年5月6日
チロシンキナーゼ阻害薬が まれな神経内分泌腫瘍(MMP)の無増悪生存期間を延長
2021年10月15日