2007/03/27号◆特集記事「二次癌に対する注目を喚起」
同号原文|
NCI Cancer Bulletin2007年03月27日号(Volume 4 / Number 13)
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◇◆◇特集記事 ◇◆◇
二次癌に対する注目を喚起
アメリカでは1千万人以上が癌と共に生きており、1970年以降、癌サバイバーの人数は3倍となった。長期生存する癌サバイバーは、最初の癌の再発や新たな原発癌のどちらかによる2つ目の癌を含む多くの健康問題のリスク増加に直面している。
Division of Cancer Control and Population Sciences(DCCP)の研究者らによる新しい分析は、Surveillance, Epidemiology and End Results(SEER)のデータを用いて、2つ以上の原発癌と診断されたことのある生存者数を算出した。これは初めての人口ベースの推定とされる。
現在の推定では、原発癌が2つ以上あると診断されたアメリカ国民は756,467人であり、これは癌に罹患している人の8%を占め、また合衆国国民の0.26%にあたる。この研究は、Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌の3月号に掲載された。
「癌サバイバーが新たな癌に罹患することは、一般の人に比べて同等あるいは高リスクであり、適切で長期にわたる医療的観察が必要だと、臨床医は認識することが重要である」と、DCCPS研究の主任執筆者であるAngela B Mariotto医師は述べた。最初の癌に対する治療によって、新たな癌と診断された時に行える治療が制限される恐れがあるため、Mariotto医師はこの特殊な患者に合う治療の開発を主張している。
ベビーブーム世代は癌の発症が高まる年齢に達し、そして、癌と診断された人々の生存も延長され続けるため、近い将来、「多重癌の患者数はほぼ確実に増加する」とMariotto医師は予測している。
Division of Cancer Epidemiology and GeneticsとDCCPSにより出版された最新のモノグラフも、特定部位の二次癌の発生に関するリスクを定量化するためにSEERを使用している。その結果は、どの特定の癌が最初の原発癌に続いて発生しやすいか、そして、癌サバイバーは全般的に新たな悪性腫瘍に罹患する危険性が、一般の人口より14%高いことを示している。
3月21日付けのJournal of the American Medical Association誌に掲載された研究は、アメリカで最も一般的な小児癌である急性リンパ性白血病(ALL)の長期生存者に対する二次癌のみに焦点を当てたものだった。毎年約4,000人の小児が罹患し、10年の無再発という定義を用いるなら、現在、患児の80%以上が治癒している。
メンフィスにあるSt Jude Children’s Research病院のNobuko Hijiya医師らは、St Jude病院で1962~1998年の間に新たに急性リンパ性白血病と診断され完全寛解に至った患児2,169人の記録を分析した。中央値18.7年の追跡調査後、生存者の7.7%に二次癌が見つかった。基底細胞癌や髄膜腫といった悪性度の低い癌を除いた二次癌のリスクは一般の人に比べて13.5倍高かった。
15年後には、急性リンパ性白血病のサバイバーの4.17%に二次癌が見つかった。以前の研究では、二次癌の発生は15年後には横ばい状態になるとあったが、しかし執筆者らは、これらのデータの多くは、比較的不完全でありさらに追跡調査期間も短いという制限があると思っている。急性リンパ性白血病の研究では、累積的な発生率はおよそ20年後に急上昇し、そして30年後でも横ばいにならず、10.85%にも達した。
「二次癌の発生データは、治癒するだけでは十分ではないということを再認識させる」と、米国国立癌研究所のCancer Survivorship室長であるJulia Rowland医師は語った。「癌を生き抜くことは、癌サバイバーやその家族に、適切な癌検診その他の健康的ライフスタイルの習慣を身に付けることに注意を払うよう私たちが “教えられる期間”を提供してくれる。」
— Addison Greenwood
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Nogawa 訳
林 正樹 (血液・腫瘍科)監修
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