癌性骨痛に1回照射が費用対効果が良好/米国がん協会2003
原文
癌性骨痛に1回照射が費用効果が良好
多数回照射と同等の有効性あり
米国がん協会 (ACS) 2003/2/7
新たな研究によれば、癌の転移による骨痛の治療には、放射線の1回照射が多数回照射と同等の有効性があるとみられ、より費用対効果が良好な場合がある。
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研究者らは数年前に発表されたオランダの研究データを、特に治療に関連した費用に着目して検討を加えた。オランダにあるLeiden大学医療センターのWilbert van den Hout医師らはその研究結果をJournal of the National Cancer Institute誌(Vol.95: 222-229)に報告した。
癌性骨痛に放射線療法が有効
癌による骨痛をコントロールする手段として、外部照射(照射装置から直接身体に放射線を照射する)が長年用いられてきた。外部照射は、転移部位の数が限定されていて、その部位への照射が可能な場合は有効である。多部位にわたる場合は、放射性医薬品を用いる(放射性薬剤の静脈内投与)など、新たな形の放射線療法が有用な可能性がある。
放射線療法が多くの患者に有効であることを医師らは認識しているが、至適線量や最適な照射法の決定は困難であった。医師らは、1回大量照射による副作用を懸念して、「分割照射」、すなわち少量を連日照射する方法を開発した。分割照射により総線量を多くすることができる。
過去のいくつかの大規模な研究では、このような多数回照射法がより多くの患者で奏効したと報告した。現在、多くの医師が骨痛の治療に本法を用いている。
初期の結果によれば少ない治療回数でも有効
1999年にドイツ骨転移研究(Dutch Bone Metastasis Study)の初期結果が報告された。骨転移をきたした癌患者1,100人以上が本研究の対象であった。患者の癌転移部位に1回大線量照射あるいは6日間の分割少線量照射を実施した。
疼痛緩和や副作用、もしくは他のQOL指標の点からはこの2群に差はみられなかった。1回照射群では、2回目の治療を要する可能性が高かったが、2回目の治療を要する場合でも総治療回数は少なかった。
著者らによる経済効果の再検証
今回、著者らは本研究における、2種の照射法に関連する費用に注目した。
2種の照射法によるQOLを考慮しても、平均余命に関して差はみられなかった。しかし、医療費その他の費用は1回照射群のほうが少なかった。
また、1回照射法は社会的負担という点でより好ましかった。著者らによると、例えば、放射線治療部での必要治療回数が減少すれば、治療を要する他患者に日程を割り振ることができるであろう。
結果は有用であるが、該当しない場合もある
「1回照射法は、多数回分割法と同等に患者の疼痛を軽減し、通院回数を減少させる」と著者らは結論づけた。「1回照射法は、放射線治療部の治療日程内に容易に収まるため、医療費や社会的負担が軽減し、他患者に治療能力が確保される」。
しかし同時に、著者らは費用推定値のような因子のいくつかは、米国などの他の国では当てはまらないかもしれないものがあることを指摘している。「費用は、国により、あるいは放射線治療施設でもかなり異なるため、費用推定値の信頼性はオランダ国外の放射線治療施設では低い場合がある」。
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(Yukku 訳・平 栄(放射線腫瘍科) 監修 )
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