Oncotype DX®で中リスクとされた患者に対する補助化学療法を評価するTAILORx臨床試験)

キャンサーコンサルタンツ
2009年6月

Oncotype DX®で再発リスクスコアが中とされた、ホルモン陽性、HER-2陰性、リンパ節陰性で大きさ1-5cmの乳癌がある女性に対して、補助化学療法とホルモン療法が適応となるかどうかを決める大規模国際ランダム化試験が進行中である。

この試験は米国、カナダ、ヨーロッパの900の施設で10,000人の女性が登録し、米国国立癌研究所が出資する。この試験はNorth American Breast Cancer Groupにより管理され、米国でEastern Cooperative Oncology Group臨床試験団体によって調整される。この試験の詳細はOncotype DXのウェブサイト(www.oncotypedx.com)[1]で参照できる。

リンパ節陰性、ホルモン陽性の乳癌で、補助化学療法が必要なくホルモン療法だけで効果的に治療できる女性を同定することにおいて大きな進歩がみられている。この進歩の一因は、再発リスク(再発スコア)の決定を助ける遺伝子診断であるOncotype Dxの開発による。

再発スコアが10以下の患者の再発可能性は5%であり、補助化学療法は受けないようにアドバイスされる。再発スコアが26以上の患者はホルモン療法単独では30%の再発率であるため補助化学療法が勧められる。再発スコアが11から25までの患者は7~16%の再発可能性があり、ホルモン療法に加えて補助化学療法を行うことの効果はわかっていない。このスコア範囲の限局性乳癌女性患者は、リンパ節陰性、ホルモン陽性の乳癌患者のおよそ44%である。

適格基準は以下を含む:

・エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体、あるいはその両方が陽性の乳癌

・リンパ節陰性の乳癌

・HER2陰性の乳癌

・腫瘍径が1.1cmから5cmまで、あるいは予後不良な組織所見がある0.5mmから1.0cmまでの乳癌

・Oncotype DXスコアが11~25

コメント:これは、Oncotype DXにより再発リスクが中とされた患者がホルモン療法に加えて補助化学療法を受けることで予後が良くなるかどうかを判断する助けとなる、非常に重要な試験である。これはまた、限局性乳癌女性患者で行われるもっとも大規模なランダム化試験のひとつとなるであろう。

参考文献:
[1] Oncotype DX Web site. Ongoing Research (TAILORx). http://www.oncotypedx.com/PatientCaregiver/OngoingReasearch.aspx?Sid=9. Accessed June 23, 2009.


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翻訳担当者 野長瀬 祥兼

監修 林正樹(血液・腫瘍内科)

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