フェマーラ®とタモキシフェンによる乳癌の逐次療法はフェマーラ®単独療法と比べ有効性は高くない
キャンサーコンサルタンツ
2009年8月
BIG 1-98研究グループに参加している研究者らは、フェマーラ®(レトロゾール)とタモキシフェン(ノルバデックス®)の2剤による逐次(順次)療法では、閉経後ホルモン受容体陽性乳癌患者において、無病生存期間を改善しないと報告していた。この試験の詳細はNew England Journal of Medicine誌の2009年8月20日版に掲載されている。
乳癌の多くはホルモン受容体陽性である。この種の癌は、エストロゲンやプロゲステロンといった、体内を循環している女性ホルモンに刺激されて増大する。ホルモン受容体陽性の乳癌の治療には、エストロゲンの働きを抑制または阻害するホルモン療法を必要とすることが多い。これらのホルモン療法にはタモキシフェンと同様にフェマーラのようなアロマターゼ阻害剤が含まれる。タモキシフェンはエストロゲンレセプターを阻害する一方、アロマターゼ阻害剤はエストロゲンの産生を抑制する。
Breast International Group (BIG) 1-98試験はランダム化第3相二重盲検臨床試験で、8,000人以上の閉経後のホルモン受容体陽性早期乳癌患者を対象としている。参加した女性らは、4グループのいずれかにランダムに分けられた。
・タモキシフェン療法5年間
・フェマーラ療法5年間
・フェマーラ2年間、その後タモキシフェン3年間の逐次療法
・タモキシフェン2年間、その後フェマーラ3年間の逐次療法
以前のBIG 1-98試験からのデータの解析では、フェマーラはタモキシフェンに比べ再発、特に遠隔部位での再発のリスクを減少させるということが示されていた。研究者らは、現在の追跡期間中央値がほぼ6年間という時点で、逐次療法という選択肢の効果を評価しているところである。結果は、いずれの逐次療法も、フェマーラ単独療法と比べ、無病生存期間を有意に改善させるわけではないことを示している。
特に、前回の研究結果では、フェマーラ療法群はタモキシフェン単独療法群と比較して、ランダム化から2年以内の再発頻度は有意に低かった。その後の71カ月の追跡では、フェマーラ投与を受けた患者の全生存期間は良かったものの(ハザード比:0.87)、この差については統計学的に有意には至らなかった(p-0.08)。
研究者らは、現在、逐次療法群において同様のことを述べている。先にタモキシフェンの投与を受けた後にフェマーラの投与を受けた女性の方は、先にフェマーラの投与を受けた後にタモキシフェンの投与を受けた女性と比べると、早期に再発する割合が高かった。この結果から、研究者らは、フェマーラを2年間投与した後にタモキシフェンを全5年間投与するという逐次療法は、何らかの理由でフェマーラの投与を中止する必要がある場合、許容し得る選択肢であろうと考察している。
コメント:この研究者らは、フェマーラとタモキシフェンによる逐次療法は、フェマーラ単独療法以上の有用性は示していないと結論づけた。
参考文献:The BIG 1-98 Collaborative Group. Letrozole therapy alone or in sequence with tamoxifen in women with breast cancer. New England Journal of Medicine [early online publication]. August 20, 2009.乳癌女性におけるレトロゾール治療単独とタモキシフェンの順次投与との比較(日本語訳)
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