ESMO乳がん学会2022
世界のがん専門医が集まり、研究の進歩、情報の普及、診療の向上を目的とした年次イベントであるESMO乳がん学会(ESMO Breast Cancer Congress)2022は、今年、革新的な臨床を目指して、トランスレーショナル(橋渡し)研究の統合に焦点を当てた。
本学会は、2022年5月3日~5日にかけて、ドイツのベルリンで現地開催されたほか、オンラインでも開催された。
プログラムのハイライト
・トリプルネガティブ乳がんまたはリンパ節転移のある早期乳がんの患者に対する、現行の治療より強度は低い(de-intensified)が同程度に有効で、かつQOLを向上させる治療法を探る戦略
・患者報告アウトカム(PRO:patient-reported outcome)による評価を臨床の場で実現する、患者がより長くより良く生きるための新しい技術
・画一的な標準マンモグラフィーにかわる、個別化、リスク層別化した検診
・抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate):乳がん治療の最先端と新しい治療領域
・食事制限することなくがん細胞を飢えさせる:新しい乳がん治療法としての代謝性医薬品の進歩
・健康的なライフスタイルを奨励する健康教育と、心理社会的リハビリテーション促進のためのeヘルスの統合
・乳がん治療後の毒性およびQOL悪化に対する包括的な生物行動学的(bio-behavioural)アプローチ
基調講演
「術前療法から学んだこと、そうでないこと」Sibylle Loibl氏(2022年度ESMO乳がんアワード受賞者) 2022年5月3日
「HR陽性HER2陰性早期乳がんに対する術後治療の最適化」Joseph Sparano氏 2022年5月3日
「がんの進化に関する知見によって乳腺腫瘍学はどう変わるのか」Charles Swanton氏 2022年5月4日
世界各地で行われた200以上の研究結果は、口頭発表、ミニ口頭発表またはポスター発表のいずれかで発表され、Annals of Oncology誌の別冊としてオンライン公開された。抄録のタイトルは、オンラインプログラムで閲覧可。
翻訳担当者 田代両平
監修 下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター乳腺腫瘍内科)
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