早期乳がんに術後2年を超えるビスフォスフォネート剤は有益でない

ゾレドロン酸(またはゾレドロネート、販売名:ゾメタ)を5年間投与した患者群と2年間投与した患者群との間では、無病生存期間(ハザード比[HR]:0.97)、全生存期間(HR:0.98)、遠隔無病生存期間(HR:0.87)における有意差は認められなかった。

有害事象の発現頻度では、5年投与群(46.2%)が2年投与群(27.2%)より高く、特に骨格関連事象である骨痛(5年投与群8.3%、2年投与群3.7%)および関節痛(5年投与群5.1%、2年投与群3.1%)で顕著であった。

「臨床医は、ゾレドロン酸を術後2~3年目以降も延長する必要があるかどうか、慎重に検討すべきです。ゾレドロン酸を用いた治療を延長する前に、患者の骨の健康状態や骨密度低下の徴候に関して注意深くモニターし、低カルシウム血症、骨痛、関節痛、顎骨壊死など、ゾレドロン酸関連の有害事象に特に注意を払う必要があります」と、 Friedl医師は語った。

 また、関連論説の共著者である、プリンセス・マーガレットがんセンターおよびトロント大学のEitan Amir医師は、ロイター・ヘルスへのメールで次のように述べた。

「術後ビスフォスフォネート製剤を従来の治療に追加すると、骨転移を有意に、しかし緩やかに抑制します。術後ビスフォスフォネート剤の最適な投与期間は不明です。

SUCCESS Aで認められた結果には、方法論的限界が影響を与えたかもしれませんが、これら限界が存在しなかったとしても、相当な差が認められたと考えることは難しいですね。

これまでの臨床試験では骨を標的とした治療が行われていないこと、かつ、早期乳がんにおける最新の臨床試験では成績が大幅に改善していることに比べて、ビスフォスフォネート剤による改善がわずかであることを考慮すると、次の重要な疑問に答えを出す必要があります。現代の乳がん現場において、術後補助療法としてビスフォスフォネート剤にメリットがあるとすれば何でしょうか」。

本研究は、AstraZeneca社、中外製薬、Menarini Silicon Biosystems(旧Veridex)社、Eli Lilly社、Novartis社、およびSanofi-Aventis社から一部資金提供を受けている。Friedl医師および多くの共著者は、これらの企業の1社または複数社から資金提供を受けた。

原典:https://bit.ly/3hi2wiS、 https://bit.ly/3y8GaY2 JAMA Oncology誌 オンライン版 2021年6月24日

翻訳担当者 平  千鶴

監修 田原梨絵(乳腺科、乳腺腫瘍内科)

原文掲載日 

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