乳がんワクチンGP2、第2相試験で5年再発率0%
Greenwich LifeSciences社プレスリリース
– 本日、2020年サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で 、HER2由来ペプチドワクチンGP2の有効性に関する第2b相臨床試験の最終解析結果が発表された(ポスター発表)。
– 本第2b相臨床試験は、MDアンダーソンがんセンター主導の多施設(16施設)共同、前向きの単盲検ランダム化プラセボ対照試験だった。
– 手術後ハーセプチン治療に続き、GP2免疫療法を受けた患者のカプランマイヤー法による追跡期間中央値5年での無病生存率は100%だった(乳がん再発0%、p=0.0338)。
– 製薬企業は、同様の中等度から高悪性度(ハイリスクT1、T2-T4)乳がん患者を対象とした、第3相臨床試験開始に向けて準備を進めている。
Greenwich LifeSciences, Inc. (Nasdaq: GLSI)(以下「当社」)は、乳がん患者の手術後再発予防を目指し、GP2免疫療法の臨床開発を行うバイオ医薬品会社である。本日、当社は、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)にて、GP2 の第2b相臨床試験の最終有効性解析結果を含むポスターが、バーチャル形式で公開されたことを発表した。また、Greenwich LifeSciences社 CEO Snehal Patel氏は、概要説明の音声収録を行った。図、表、音声を含むポスターは、当社のウェブサイトからアクセスまたはダウンロードできるほか、SABCS参加者はSABCSウェブサイトからもダウンロード可能である。
ポスターには、乳がん再発率低下の最終評価として生存曲線により求めた、HER2/neu (3+)(図1)およびHER2/neu (1-2+)(図2)両方の患者集団に対する5年無病生存率が含まれる。病期、ホルモン受容体発現、リンパ節転移、および前治療歴[化学療法、放射線療法、内分泌療法、またはトラスツズマブ(ハーセプチン)]などの患者背景(表1)も含まれている。
Patel氏は次のようにコメントしている。「SABCSで発表したポスターは、重要な意味を持っています。カプランマイヤー法による生存曲線および患者背景は、当社の有望なHER2 (3+) 第2b相試験結果の評価が正当であることを示し、2021年に開始予定の第3相試験を支持するものです。8 人に 1 人の女性が乳がんの再発を経験します。再発乳がん女性の約 50%は、トラスツズマブまたはアドトラスツズマブ・エムタンシン(カドサイラ)による治療に反応しないため、転移性乳がんとなり予後不良です。転移性乳がん患者の約80~85%が亡くなってしまうのです。この解決すべき課題に挑むGP2は、50億ドルを超える潜在的な市場を見込んでいます」。
ポスターの結論:
– 本試験は、手術後にトラスツズマブによる標準治療を受けたHER2/neu (3+)乳がん患者を対象に初回シリーズのGP2+GM-CSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)の皮内接種を6回行い、強力な免疫反応を安全に誘発、再発率0%と再発を抑制し、全ての臨床評価項目を達成した。0%という再発率は、ゴールドスタンダードである5年間の追跡調査においても維持されていた。HER2/neu (3+)患者への術前治療を検証する、主軸となる第3相試験の開始に向けて準備を進めている。
– GP2は、トラスツズマブをベースとした治療薬との併用投与により、HER2/neu (1-2+) 乳がん、または他のHER2/neu発現がんに対しても、効果を発揮する可能性がある。
ポスターからの抜粋:
ポスター PS10-23: サンアントニオ乳がんシンポジウム5年中央値トップラインデータのポスター発表
5年中央値トップラインデータは、2020年12月9日サンアントニオ乳がんシンポジウムにおいて「HER2陽性切除可能な乳がん女性患者に対する、術後トラスツズマブ治療に続き、HER2/neuペプチドGP2+GM-CSF併用投与群およびGM-CSF単独投与群を比較した、多施設共同前向き、単盲検、ランダム化プラセボ対照第2b相試験から得られた5年(中央値)再発率低下検証結果」と題したポスターで下記の通り発表された。
HER2(免疫組織化学[IHC]1~3+)発現、リンパ節陽性乳がん患者およびリンパ節陰性高リスク乳がん患者を対象に、術後補助療法としてGP2+GM-CSFを併用投与する、多施設共同前向き、単盲検、ランダム化プラセボ対照第2b相試験(NCT00524277)において、5年間の追跡調査を終了した。本試験では、HLA-A02陽性患者がGP2+GM-CSF併用投与群とGM-CSF単独投与群に無作為に割り付けられた。本試験の主な目的は、HER2由来ペプチドGP2治療による再発率の低下を検証することであった。
試験に同意し、登録された各患者は無作為に割り付けられ、最初の6カ月間に「初回ワクチン接種シリーズ(Primary Immunization Series、PIS)」として3~4週間ごとに計6回のGP2+GM-CSF(500 mcg GP2:125 mcg GM-CSF)またはプラセボ(125 mcg GM-CSF単独)の皮内接種を受け、その後6カ月ごとに計4回、追加免疫としてGP2+GM-CSFまたはプラセボの皮内接種を受けた。試験中に追加免疫接種が導入されたため、4回受けなかった患者もいた。
(ITT:試験に割り付けられた180人のうち)試験計画書に適合した168人に対して、バスケット試験が16 の臨床施設で実施された。HER2 (3+) 患者96人が術後トラスツズマブ標準治療後に初回ワクチン接種シリーズ(PIS)を終了(術後中央値 17.1 カ月)、またはプラセボを終了した。HER2 (1-2+)患者72人が、術後にトラスツズマブ治療を受けずに、PISを終了(術後中央値 10.8 カ月)、 またはプラセボを終了した。患者の疾患特性はポスターの表1に記載されている。
GP2にはトラスツズマブとの相乗効果があるが、HER2 (1-2+)患者はトラスツズマブ投与を受けていないため、割り付けられた全患者(ITT)と試験計画書に準じた(per protocol)2つの(HER2 (3+) および HER2 (1-2+))患者集団の再発率比較を事前に設定した。PISを終了しなかった患者は除外した。
ポスターの図1は、GP2治療を受けたHER2 3+患者の無病生存(”DFS”)が良好であることを示している。5 年追跡調査後、GP2+GM-CSF併用投与群で、PISを完了したHER2 (3+)患者46人のカプランマイヤー法による 5 年 DFS率 が100% であったのに対し、プラセボ+GM-CSF 投与群 患者50人の DFS率は89.4% (95% CI:76.2、95.5%、p = 0.0338) だった。表1に示したように、治療群とプラセボ群のHER2 3+患者は均等に割り付けされていて、約53%がT1ステージ、41%がT2-T4ステージ、55%がリンパ節陽性だった。58%がホルモン受容体陽性で内分泌療法、77%が術後放射線療法、77%が術後化学療法、89%がトラスツズマブ治療を受けた。
GP2の忍容性は良好であり、重篤な有害事象はみられなかった。局所皮膚検査や免疫学的検査により強力な免疫応答が認められ、PIS終了後6カ月に免疫がピークに達することを示唆している。
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