FDAが転移トリネガ乳がんにサシツズマブ ゴビテカンを迅速承認

2020年4月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、転移がんに対する前治療を2回以上受けた転移トリプルネガティブ乳がんを有する成人患者に対して、サシツズマブ ゴビテカン(販売名:TRODELVY、Immunomedics, Inc.社)を迅速承認した。

転移がんに対して2回以上の前治療歴がある転移トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)患者108人を対象とした多施設共同単群試験、IMMU-132-01(NCT 01631552)において、有効性が示された。患者はサシツズマブ ゴビテカン10 mg/kgを21日サイクルの1日目および8日目に静脈内投与された。腫瘍イメージングを8週間毎に取得し、患者は病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで治療を受けた。

主要有効性評価項目は、治験責任医師がRECIST1.1に基づいて評価した全奏効率(ORR)および奏効期間であった。ORRは33.3%(95%[信頼区間]CI:24.6~43.1)、奏効期間中央値は7.7カ月(95%CI:4.9~ 10.8)であった。

最もよくみられた副作用(25%以上)は、悪心、好中球減少症、下痢、疲労、貧血、嘔吐、脱毛症、便秘、発疹、食欲減退、および腹痛であった。サシツズマブゴビテカンにより、重度の好中球減少症や下痢を発症することもある。

サシツズマブゴビテカンの推奨用量は10 mg/kgであり、21日サイクルの1日目および8日目に疾患進行または許容できない毒性が認められるまで静脈内投与が行われる。

TRODELVYの全処方情報はこちらを参照。

本適応は、全奏効率および奏効期間に基づき、迅速承認制度のもとで承認された。本適応の継続的な承認には、検証的試験における臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。

FDAはサシツズマブ ゴビテカンをオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)、ファーストトラックおよび画期的治療薬に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 小石みゆき

監修 田原梨絵(乳腺科、乳腺腫瘍内科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明の画像

健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明

乳房組織には、浸潤性乳がんに見られる遺伝子変化を持つ正常細胞が含まれており、将来の早期発見へのアプローチの指針となる可能性がある。

健康な女性の場合、一見正常に見える乳房細胞の一部に浸潤...
心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性の画像

心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性

進行または転移乳がんと診断された患者は、早期乳がんの患者に比べて心血管疾患の既往の可能性が高いことが研究から判明

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によると、心血管疾患(C...
米FDAが切除不能/転移ホルモン陽性HER2陰性乳がんにダトポタマブ デルクステカンを承認の画像

米FDAが切除不能/転移ホルモン陽性HER2陰性乳がんにダトポタマブ デルクステカンを承認

2025年1月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性疾患に対するホルモン療法および化学療法を受けたことのある切除不能または転移、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮...
米国公衆衛生局長官がアルコールとがんリスクの関連について勧告の画像

米国公衆衛生局長官がアルコールとがんリスクの関連について勧告

米国保健福祉省(HHS)ニュースリリース飲酒は米国におけるがんの予防可能な原因の第3位本日(2025年1月3日付)、米国公衆衛生局長官Vivek Murthy氏は、飲酒とがんリ...