乳がんの手術費が治療法の選択に影響
しかし、同等の効果を有する他の治療法との費用の違いを説明する医師は少ない
高学歴で健康保険に加入している女性でさえ、かなりの割合の人が乳がんの手術法を選択する際に治療費に左右されていたことが、デュークがん研究所が主導する研究でわかった。
Journal of Oncology Practice誌電子版で公表されたこの結果は、医師が患者に治療選択肢をどのように提示すべきかを示唆している。とりわけ、術後の転帰は同等でも費用が異なる場合が多いからである。
デュークがん研究所の外科医である筆頭著者Rachel Greenup医師は、「多くの場合、早期乳がん患者はいくつかの手術法から治療法を選択できます。これらの手術法はどれも同じように有効で良好な転帰が得られます。手術法について外科医が精神面や肉体面の副作用を説明することはよくありますが、費用について話し合うことはほとんどありません」と述べている。
Greenup医師は同僚らと共に、ステージ0~IIIの乳がん患者を対象とした電子調査を行った。対象者は、乳がんの克服者と活動家らで作る全国組織Army of Women、およびアフリカ系アメリカ人の乳がん克服者団体Sisters Network of North Carolinaのメンバーから募った。
600人を超える参加者の人口統計学的特性は、平均的な米国民よりかなり裕福であった。すなわち、90%が白人、70%が民間健康保険の加入者、25%がメディケアの加入者、78%が大卒、56%の世帯年収が74,000ドル超であった。
このように恵まれた状況にありながら、かなりの割合の女性(43%)が、乳がんの治療法を決める際に費用を考慮したと回答した。また、ほぼ3分の1の女性が、手術法の選択に際して費用に左右されたと答えた。世帯年収が45,000ドルを下回る女性の場合、乳房やその外観を保つことよりも治療費が重要視されていた。手術法の選択を迫られている女性との話し合いでは、この治療費と乳房温存の2つが焦点となることが多い。
全体としては35%の回答者が、がんの治療が経済的に負担になったと答え、費用についてがんの治療チームと話し合わなかった人は78%に上った。収入が最も高い参加者の間でも、65%が乳がん治療費に対して経済的な備えができていなかったと答えた。
乳がんの手術法には、乳房温存手術(腫瘍摘出術+放射線療法)、乳房切除手術、両乳房切除手術(乳房再建術を含む)がある。このうち、患者の負債や家計の困窮がより大きかったのは両乳房切除手術であった。
「女性は自分にとってどの手術法が最善かを決める際に、乳房温存の希望、乳房再建の選択肢、回復期間、性的魅力、見た目、術後の観察の必要性、安心感など、多くの要素を秤にかけます」とGreenup医師は語った。
「医師は選択肢となる手術の副作用については必ず説明しますが、自己負担額や患者と家族の生産性の損失など、金銭的ダメージの可能性についてははっきり言いません。本研究はこの状況を変えるべきだと示唆しています」とGreenup医師は述べている。
Greenup医師以外の研究著者は以下のとおりである。Christel Rushing, Laura Fish, Brittany M. Campbell, Lisa Tolnitch, Terry Hyslop, Jeffrey Peppercorn, Stephanie B. Wheeler, S. Yousuf Zafar, Evan R. Myers and E. Shelley Hwang.
本研究は、米国国立衛生研究所(K12HD043446-11)および米国国立がん研究所(P30-CA014236)よりBuilding Interdisciplinary Research Careers in Women’s Health(BIRCWH)キャリア・デベロップメント・アワードの支援を受けた。
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