FDAが乳癌患者向けの新規の遺伝子検査SPOT-Light HER2 CISHを承認
原文
FOR IMMEDIATE RELEASE:2008年7月8日
Media Inquiries:Karen Riley, 301-827-6242
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA
FDAが乳癌患者向けの新規の遺伝子検査を承認
米国食品医薬品局(FDA)は、乳癌患者に対してハーセプチン(トラスツズマブ)による治療が適しているかどうかを決定するための新しい遺伝子検査を承認した。
この「SPOT-Light HER2 CISH」キットは、腫瘍組織におけるHER2の遺伝子コピー数を測定する検査であり、この遺伝子は癌細胞の増殖を調節している。
健康な乳腺細胞は2つのHER2遺伝子コピーを有し、細胞に対して増殖、分裂、修復の時期を伝えるシグナルを送る。一部の乳癌患者では、このHER2遺伝子コピーが多く、そのためHER2タンパク質が過剰に産生され、乳腺細胞に対して多くのシグナルが送られる。その結果、細胞の増殖、分裂が異常な速さで行われることになる。
「他の臨床情報や臨床検査とともに利用すれば、この検査によって医療専門家は新たに治療方針を見極めることができる」とFDA医療機器・放射線保健センター代表のDaniel Schultz医師は述べている。
このSPOT-Light検査は、採取された腫瘍の小さなサンプル中にあるHER2の数を測定する。採取片を薬品で染色し、サンプル内のHER2遺伝子を変色させるが、この変色は一般の顕微鏡で観察可能なため、すでに流通している高価で複雑な試料分析用の蛍光顕微鏡を必要としない。現行の検査と異なり、SPOT-Lightは将来の参考資料として検査機関に保管しておくことも可能である。
HER2が過剰発現している患者は、HER2タンパクの産生をターゲットにしたハーセプチンで治療するのが一般的である。これは、HER2過剰な癌細胞の増殖を阻止する治療薬である。
FDAによるSPOT-Light検査の承認は、米国とフィンランドの乳癌患者の腫瘍サンプルを使った研究をもとにしている。これらの研究では、患者のHER2遺伝子量の確定にこの検査が有効であったことが確認された。
SPOT-Lightはインビトロジェン社(米国カリフォルニア州カールズバッド)、ハーセプチンはジェネンテック社(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)(※日本では中外製薬が販売)が製造している。
******
越智律子 訳
平 栄(放射線腫瘍科)監修
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
乳がんに関連する記事
転移トリネガ乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ツールを開発
2024年11月13日
FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認
2024年10月24日
乳がん後の母乳育児が安全であることを証明する初めての研究結果
2024年10月14日
● この結果は、乳...
HER2陽性乳がんの脳転移にトラスツズマブ デルクステカン(抗体薬物複合体)が有効
2024年10月21日
• 今回の結果は、今まで行われてきた複数の小規模...