FDAが乳がん治療に定位放射線治療システムを認可

速報

FDAが乳がん治療に定位放射線治療システムを認可

本日、米国食品医薬品局(FDA)により、乳房組織におけるがん治療専用の新しい非侵襲的定位放射線治療システムが認可された。

「本日認可されたことで、乳がん患者の皆様は新規の治療選択肢を選ぶことができるようになります。すなわち、周囲健常組織を温存しながら乳がんをより正確に放射線で叩く放射線治療です」と、FDA医療機器・放射線保健センターの体外診断・放射線保健オフィス、放射線保健ディレクター補佐であるRobert Ochs博士は述べている。

放射線治療はがん患者にとって重要な治療の選択肢であり、すべてのがん患者のうち約60%が何らかの形で放射線治療を受けている。腫瘍細胞に吸収された放射線がDNAに損傷を与え、腫瘍細胞は治療中に死滅する。ただし腫瘍細胞を殺すことができる一方で、周囲の健常組織にもダメージを与えてしまう。

非侵襲的に定位性放射線を乳房の一部(部分体積)に照射し、乳房温存治療の一環として行われることを目的としているのがGammaPodシステムである。このシステムでは放射線が乳房の特定領域に照射されるが、GammaPodでは全乳房放射線治療(WBRT)と同程度の有効性が示されておらず、WBRTの置き換えを意図するものではない。

GammaPodシステムは乳がん治療用専用に設計された定位性放射線治療技術である。GammaPodでは、36個の放射性コバルト60から放射される何千本ものビームを集光して照射するが、その際、照射精度を高くするために、2層の吸引カップで乳房を固定する。治療中に乳房を固定するGammaPodの設計により、乳房、心臓、肺などの周囲健常組織への放射線量が最小限となる利得が得られる。

本日の認可にあたりFDAが審査した科学的エビデンスのなかには17人の患者を対象とした臨床研究が含まれており、健常組織への放射線を最小限に抑えつつ、乳房腫瘍に処方線量を正確に照射できるかどうかを検討している。放射線により引き起こされた皮膚発赤または紅斑が最小限に抑えられたこともあり、臨床上は、処方どおりの放射線線量が乳腺腫瘍に照射されたことを支持する結果が得られた。

GammaPodシステムは市販前通知510(k)申請法により審査が行われている。510(k)とは、新しい機器が合法的に販売されている従前機器と実質的に同等であることを立証するために、機器製造者がFDAに対して行う市販前承認申請である。

FDAによりGammaPodの認可がXcision Medical Systems, LLC社に与えられた。

翻訳担当者 岡部師才

監修 松本 恒(放射線診断・頭頸部インターベンショナルラディオロジー/宮城県立がんセンター 放射線診断科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

50歳以上乳がん女性における低頻度マンモグラフィ検査は年1回検査と比較して非劣性の画像

50歳以上乳がん女性における低頻度マンモグラフィ検査は年1回検査と比較して非劣性

Mammo-50試験の結果乳がんの初回診断時に50歳以上かつ診断後3年間再発のない女性において、低頻度のマンモグラフィ検査が年1回のマンモグラフィ検査と比較して劣性ではないこと...
術前化学療法にPD1阻害薬追加で高リスク早期ER+HER2-乳がんの完全奏効率が有意に上昇の画像

術前化学療法にPD1阻害薬追加で高リスク早期ER+HER2-乳がんの完全奏効率が有意に上昇

CheckMate7FL試験およびKEYNOTE-756試験結果CheckMate7FL試験(ランダム化多施設二重盲検プラセボ対照第3相試験)では、アントラサクリンおよびタキサ...
健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明の画像

健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明

乳房組織には、浸潤性乳がんに見られる遺伝子変化を持つ正常細胞が含まれており、将来の早期発見へのアプローチの指針となる可能性がある。

健康な女性の場合、一見正常に見える乳房細胞の一部に浸潤...
心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性の画像

心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性

進行または転移乳がんと診断された患者は、早期乳がんの患者に比べて心血管疾患の既往の可能性が高いことが研究から判明

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によると、心血管疾患(C...