手術切除断端が腫瘍組織に近い場合の追加切除は放射線治療を受けたDCIS患者では不要
MDアンダーソン OncoLog 2017年9月号(Volume 62 / Issue 9)
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テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者達による最近の分析によると、乳房温存術による切除断端が陰性であるものの、その端が短い、つまり腫瘍に非常に近いところで切除した非浸潤性乳管がん(DCIS)の患者は、放射線治療を受ければ、再度外科手術を受ける必要はないかもしれない。
乳房温存術後、その切除断端が陰性かつ2mm未満(すなわち、摘出された組織標本内の、腫瘍周囲にある腫瘍を含まない組織が2mm未満)のDCIS患者について、放射線治療による局所再発の予防効果を明らかにするために、乳房手術腫瘍学教室のAudree Tadros医師とその教室の教授Henry Kuerer医学博士らによって、レトロスペクティブ研究が行われた。このような患者の最適な治療方法は確立されていない。Kuerer医師は「現在たくさんの多領域の専門家からなるグループが2mmの断端を再手術の絶対的適応としている」と話した。
Tadros医師とKuerer医師らは、1996年から2010年の間にMDアンダーソンで乳房温存術を受けた1500人近くのDCIS患者の記録を調べた。患者の中には術後放射線治療を受けた人と受けなかった人がいるが、再手術を受けた人はいなかった。放射線治療を受けた患者と受けなかった患者において、切除断端陰性が2mm以上と2mm未満の患者間で局所再発率を比較した。
放射線治療を受けた患者では、切除断端陰性2mm以上と2mm未満で切除断端の局所再発率に有意差はなかった。しかし放射線治療を受けなかった人では、切除断端2mm以上の人の局所再発率(5.4%)は切除断端2mm未満の人の局所再発率(30.9%)より有意に低かった(P = 0.003)。
Kuerer医師は「DCISで切除断端2mm未満の患者は、放射線治療を受ければ再手術の必要はないかもしれない。症例ごとに年齢、切除断端の距離、患者の希望を考慮して、多領域の専門家からなるチームによって評価される必要がある」と話した。
本研究の報告は最近、Annals of Surgery誌電子版に掲載されたものである。
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