短期放射線療法によって乳がんの治療費を安全に削減できる可能性
短期の治療法は科学的に正当であるが、ほとんどの女性は依然として長期で治療を受けている。
デュークがん研究所主導の研究によると、早期乳がんの高齢女性の半数以上が、医学的に必要とされる以上の放射線治療を受けており、さらなる治療や医療費が追加されているという。
放射線治療を削減あるいは省略できた可能性のある50歳以上の女性における2011年の年間治療費は、推定で4億2020万ドルであったことが、このたび研究によって明らかとなった。もし、この群の女性がエビデンスによって効果があるとされる別のアプローチで治療を受けていた場合、その費用は2億5620万ドルと推定され、節約可能な額は1億6400万ドルとなった。
「優れた成果を損なうことなく、安全に医療費を削減できるがん治療の機会を探すことが重要です」と、3月14日に Journal of Oncology Practice誌で発表された研究の筆頭執筆者で外科助教のRachel A. Greenup医師は述べる。
「われわれの研究は、患者が質の高いエビデンスに基づいたがんケアを受けることができ、同時に患者と医療制度の治療費用負担を軽減することができるという、両者にとって利益となる例を提供するものです」とGreenup氏は語る。
Greenup氏と、統括著者のデュークがん研究所の乳房外科部長E. Shelley Hwang医師らは、National Cancer Databaseの2011年データを使用し、43,000人超の50歳以上の乳がん患者を対象とした。そのすべての患者にリンパ節まで広がっていない小さな腫瘍があり、腫瘍摘出手術での治療が行われていた。
これまでの研究で、これらの患者は、通常の6週間の治療法と比較して、4週間コースの乳房放射線治療でも同等に良好な結果が得られることが示されている。さらなる研究では、慎重に選ばれた70歳以上の患者が腫瘍摘出後にタモキシフェンでの治療を受けた場合、放射線治療による延命効果はもたらされなかったことが証明された。
しかし、このように公表されているエビデンスにもかかわらず、放射線治療を削減あるいは省略できる可能性のある患者の57%が、依然として長期で費用のかかる治療法を受けていることが、デュークがん研究所主導の研究者らによって明らかとなった。
メディケア(米国の公的医療保険)の医療費給付データを用いて従来の6週間の放射線治療を受けた患者の治療費を推定したところ、1人当たり13,000ドルを超えていた。これは、8,000ドル強のより短い治療法や放射線治療を受けず費用がかからない場合と対照的である。
Greenup氏は、この研究では保険データが利用できず、メディケアのデータでは保険データほど多くの情報は提供されないため、この研究が実施した費用削減の財務分析は限定的であると述べた。 さらに、利用可能な患者データは、女性がより長期で高額な放射線治療を受けた理由を提供していないとも述べている。 多くの場合、データベースでは明らかでない要因に基づいてその治療が支持されていたり、放射線治療を削減あるいは省略することに患者が不安を感じていたりする可能性がある。
それでもなお、この研究は、治療の決定において先進的エビデンスを適用する必要性に焦点を当てているとGreenup氏は述べる。
米国国立がん研究所(NCI)の統計の統計を引用し、Greenup氏は次のように語った。「乳がんの治療費は2020年に200億ドルに達すると予測されています。もちろん、質の高いケアはがん治療の優先事項です。しかし、エビデンスに基づく放射線治療の利用は、質を犠牲にすることなく医療費を削減することにつながることを、本研究は示唆しています」。
Greenup氏とHwang氏の他の研究著者は以下のとおり:Rachel C. Blitzblau, Kevin L. Houck, Julie Ann Sosa, Janet Horton, Jeffrey M. Peppercorn, Alphonse G. Taghian, and Barbara L. Smith.
この研究は、デューク大学のWomen’s Health(女性の健康)アワードのBuilding Interdisciplinary Researchの資金援助を受けた。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
乳がんに関連する記事
がんにおけるエストロゲンの知られざる役割ー主要な免疫細胞を阻害
2024年12月2日
乳がん個別化試験で、免疫陽性サブタイプにDato-DXd/イミフィンジが効果改善
2024年12月3日
転移トリネガ乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ツールを開発
2024年11月13日
FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認
2024年10月24日