マンモグラフィーと超音波検査による再病期診断の有用性

MDアンダーソン OncoLog 2017年2月号(Volume 62 / Issue 2)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

マンモグラフィーと超音波検査による再病期診断の有用性

新たに乳がんと診断された女性に対し、マンモグラフィーと乳房全体および所属リンパ節の超音波検査による乳房周囲領域の再病期診断を行うことで、検出されるがんが増加し(すなわち、乳房にある別の病変の発見)、臨床病期診断の精度向上につながることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで実施された後ろ向き研究で示された。乳がん治療のため3次医療センターを受診した女性に対し乳房画像診断を再度実施することの有用性は、これまで検証されていなかった。

放射線診断科乳房イメージング部門のRosalind Candelaria医師、Monica Huang医師およびBeatriz Adrada医師らのグループは、2010年にMDアンダーソンにある乳房画像診断センターを受診した女性1,000人の記録について再調査を行った。最終解析には、401人の原発性乳がん女性が用いられた。乳房画像診断センターでは、401人の女性全員が両側乳房のフルフィールドデジタルマンモグラフィーに続いて、患部のある乳房全体および所属リンパ節の超音波検査を受けた。

MDアンダーソンで行われた再病期診断の結果、401人中68人の女性でそれまでにわかっていた病気の程度に変更がなされ、がんが追加検出された割合は同側乳房の場合15.5%(62人の女性)、対側乳房の場合は3.9%(6人の女性)であった。さらに、401人の女性のうち、N分類(リンパ節の転移評価)でより高いステージとなった94人(23%)およびT分類(腫瘍の大きさ評価)でより高いステージとなった86人(21%)を含めた100人(25%)が、MDアンダーソンで実施された乳房領域の再病期分類の結果、より進行した病期(ステージ)であると診断された。

それまでにわかっていた病気の程度が変更されたことで、外科的治療も変更された。再病期診断で広範囲の多病巣性あるいは多中心性疾患であることがわかった女性50人は、乳房温存手術ではなく乳房切除術を受けた。放射線による治療戦略および術前補助化学療法の検討においても、再病期診断の結果による影響があった。

「新たに乳がんと診断された女性では、両側乳房のフルフィールドデジタルマンモグラフィーと乳房全体および所属リンパ節の超音波検査を行うことが、検出されるがんの増加につながり、病気の過小評価を減らし、さらには治療戦略に影響を及ぼすことが、われわれの結果で確認されたのです」と、Academic Radiology誌に掲載されたこの論文の筆頭著者であるCandelaria医師は述べた。

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

翻訳担当者 田村克代

監修 小坂泰二郎(乳腺外科/順天堂大学附属練馬病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

乳がんリスク評価ツールの仕組みの画像

乳がんリスク評価ツールの仕組み

2024年3月、女優のオリヴィア・マン(Olivia Munn)が乳がんと診断されたことを発表した。Munnさんはまた、がんリスク評価ツールが彼女の診断に至る過程で果たした役割を強調し...
ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全の画像

ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全

ハイリスク遺伝子があり、乳がん後に妊娠した若い女性を対象とした初の世界的研究によれば、生殖補助医療(ART)は安全であり、乳がん再発リスクは上昇しないハイリスク遺伝子があり、乳...
【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...