エベロリムス+フルベストラント併用療法がHR陽性乳がんに有効
内分泌療法剤フルベストラント(フェソロデックス)による治療にエベロリムス(アフィニトール)を追加することで、アロマターゼ阻害薬療法に耐性を示す転移性ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳がん患者の無増悪生存期間が2倍を上回ったことが、12月6〜10日に開催された2016年サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されたPrECOG 0102第2相臨床試験のデータで明らかになった。
「しばしばアロマターゼ阻害薬を用いる内分泌療法は、HR陽性進行乳がん患者の大半に対する標準治療です」とアルベルト・アインシュタイン医学校医学部助教で、モンテフィオーリ・アインシュタインがんセンター医学部主治医であるNoah S. Kornblum医師は述べた。
「しかしながら、時間が経つにつれて、アロマターゼ阻害薬への耐性が生じることから、アロマターゼ阻害薬耐性疾患の患者の治療は依然として課題の一つです」。
「最近の研究から、エキセメスタン(アロマターゼ阻害薬)へのmTOR阻害薬エベロリムス追加と、フルベストラントへのCDK4/6阻害薬追加により患者の転帰が改善することが分かっています」とKornblum医師は続けた。
「したがって、エベロリムスおよびフルベストラントの併用が、フルベストラント単独投与と比較して無増悪生存期間を改善したことには、驚きませんでした。
小規模試験で得られた新規併用療法の肯定的結果を、即座に新規標準治療として採用したい気持ちは抑えなければなりません」とKornblum医師は述べた。
「いつかエベロリムス+フルベストラント併用が転移性HR陽性乳がん治療法として新たに承認されるかもしれませんが、大規模試験で今回の結果を確認するまでは慎重であるべきです」。
試験に登録された閉経後のHR陽性HER2陰性転移性乳がん女性患者130人全員がフルベストラントの投与を受け、無作為にエベロリムスまたはプラセボのいずれかに割り付けられた。
患者98人が増悪を示した後に実施された解析では、無増悪生存期間の中央値がエベロリムス投与群では10.4カ月であったのに対し、プラセボ投与群では5.1カ月であった。
グレード3または4の有害事象は、エベロリムス投与群でより多く認められた。エベロリムス投与群の53%でグレード3の有害事象が発現したのに対し、プラセボ投与群では23%であった。
最も多く認められたグレード3または4の有害事象は、高血糖、口内炎、高トリグリセリド血症、リンパ球減少症および肺臓炎であった。
「試験でのグレード3または4の有害事象の発現率は、エベロリムスを含む併用療法を評価した以前の研究で確認された数値と非常に類似しています」とKornblum医師は述べた。
「患者や臨床医がこれらの潜在的な合併症を認識し、それらの早期発見に努め、管理する方法を学ぶことが重要です。
例えば、最近、エベロリムスを服用している患者の中には、予防用コルチコステロイドのうがい薬を用いると、口腔粘膜炎のリスクを有意に下がる患者がいることが分かりました」。
Kornblum医師は、本試験の主な制限は、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ(Ibrance)が転移性HR陽性乳がん治療薬としてFDA承認される前に試験が企画、デザインされたことであると説明した。
Kornblum医師は、試験に登録された患者のうちCDK4/6阻害薬による治療を受けたことがある患者は2人だけであり、エベロリムスを含む併用療法がこのような患者で有効かどうかを確認することが重要であると指摘した。
本試験は、Novartis Pharmaceuticals社からの資金援助を受けた。
Kornblum医師は利益相反状態にないことを宣誓する。
アブストラクト発表番号:S1-02
標題:PrECOG 0102:アロマターゼ阻害薬療法に耐性のある閉経後のHR陽性HER2陰性転移性乳がんを有する女性患者におけるフルベストラント+エベロリムスまたはプラセボのランダム化二重盲検第2相臨床試験
発表:12月7日(水)午前9時、一般セッション1 – 3番ホール
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