デジタルマンモグラフィー Q&A
NCI原文ページへ(http://www.cancer.gov/newscenter/pressreleases/2005/dmistrelease)
試験の背景
1. デジタルマンモグラフィは、フィルムでのマンモグラフィとどう違うのですか?
マンモグラフィでは、デジタルでもフィルムでも、X線を使用して乳房の画像をつくります。
フィルムマンモグラフィは35年以上使用されてきた方法で、画像をフィルム上に直接焼き付けます。従来のフィルムマンモグラフィは、通常は非常に優れているのですが、一方では乳腺密度の高い女性に対しての感度がやや低いです。これまでの研究で、自己診断もしくは触診によって検知される乳癌のおよそ10~20%は、フィルムマンモグラフィでは発見できないと指摘されています。フィルムマンモグラフィの最大の限界は、フィルムそのものにあります。いったんフィルムにマンモグラフィが作成されると、大きく変更することはできません。もしフィルムの露光が不足していれば、コントラストは失われてしまい再度得ることはできません。
デジタルマンモグラフィは、乳房の電子画像を撮り、それをコンピューターに直接保存します。デジタルマンモグラフィはフィルムによるマンモグラフィに比べてより低い放射線量しか必要としません。またデジタルマンモグラフィでは画像を電子的に保存・伝送するため、その際にデータを改善することもできます。さらに放射線科医はデジタルの乳房撮影像を読映する際にソフトウェアを使用することができます。デジタルマンモグラフィが広く利用されることで発生する問題の一つはその費用です。デジタルシステムでは現在のところフィルム使用に比べておよそ1.5~4倍の費用がかかります。
デジタルマンモグラフィ臨床試験(DMIST:The Digital Mammographic Imaging Screening Trial)は2001年10月にスタートしました。全米33カ所において、乳癌の徴候のない49,528人の女性が登録されました。女性たちは臨床試験の当日に簡単なアンケートでこれまでの健康状況を記入し、その日に片方の乳房につき最低2枚のデジタルとフィルム両方のマンモグラフィを撮影しました。そして資格を有する二人の放射線科医が、従来のフィルム及びデジタルのマンモグラフィ臨床試験の全員の個々の結果を読影しました。臨床試験に参加した放射線科医はみな両方の乳房画像を読影、そして、どの医師もほぼ同数の両マンモグラフィ画像を読影しました。
臨床試験に参加した女性たちは、1年後に年1回の定期マンモグラフィ検査に再度来るよう指示されました。その際の検査は通常の健康診断の一環として行われました。1年後に同じ場所で検査を受けられなかった女性に対しては、別の機関で撮影したフィルムを代わりに提出してもらい、臨床試験担当の放射線科医が読影しました。
乳癌は女性にとって、皮膚癌以外の癌ではもっとも多く、アメリカでは癌関係では2番目に多い死因になっています。1990年以降、乳癌による死亡率は減少傾向にありますが、これは一部には早期発見と治療方法の改善の結果だと考えられています。
デジタルとフィルムによるマンモグラフィ診断の正確さの差は比較的小さいかもしれませんが、臨床上、その差が重要な意味を持つかもしれないのでDMISTが行われました。指摘された差がどれほど小さいものであったとしても、それは全てもしくはあるグループの女性にとって乳癌発見の改善につながる可能性があります。
デジタルマンモグラフィは近年より使用されるようになってきた新しい技術です。現在では乳房撮影装置のおよそ8パーセントがデジタル化されています。過去の臨床試験では、デジタルマンモグラフィもフィルムを使用したそれを比較しても診断の正確さに差はないとされていました。米国食品医薬品局(FDA)の行った臨床試験やその他3つの小さなスクリーニング臨床試験もデジタルとフィルムのマンモグラフィの効果について大差はないとの結果を示しました。しかし、これらの研究には限界があります。なぜなら、臨床試験で使用されたのは、たった1種類のデジタル検知器であったこと、そして比較的少人数の患者のみを対象としたのものであったため、診断の正確さの小さな差異を発見することに限界があった可能性がありました。
米国およびカナダの計33ヶ所において、通常の乳癌健診のマンモグラフィを受ける必要のある女性たち49,500人以上を募集して集めました。その女性たちは過去に乳癌の兆候のない人たちで全員、追跡調査として臨床試験を行った1年後に再度同じ場所においてマンモグラフィを受けるかもしくは他の機関で受けたマンモグラフィを提出することに同意しました。参加者は全員この臨床試験の内容を理解し、臨床試験参加同意書にサインしました。
以下の条件にあてはまる女性は臨床試験に参加していません。
・妊娠中の女性
・豊胸手術をしている女性
・過去11ヶ月以内にマンモグラフィ検診を受けている女性
・本人もしくは医師により単独として触れる局所のしこりのある女性
・透明もしくは血の混じった乳汁の出ている女性
・乳腺腫瘤摘出による乳癌の既往症のある女性
DMIST参加者の乳癌の状態は、臨床試験参加より15ヶ月以内に施行された乳房生検もしくは10ヶ月以降に施行された追跡調査マンモグラフィにて判定されました。
The American College of Radiology Imaging Network(ACRIN:米国放射線学会画像ネットワーク)がこの試験を組織しました。ACRINは米国国立癌研究所(NCI)の癌治療・診断部門が後援している共同団体です。臨床試験参加者の登録が始まったのが2001年の10月で、2003年の11月14日にはDMISTが目標とする49,500人の目標人数に達しました。ACRINは新しい医療画像技術の臨床試験を行うために協力して集まった内科医、科学者及び医療機関のネットワークで、デジタルマンモグラフィ臨床試験の費用はトータルでおよそ2600万ドルでした。
General Electric Medical Systems, Fuji Medical Systems, Fischer Imaging, および Hologic のデジタルマンモグラフィがこの臨床試験で使用されました。これらのうちFuji Medical Systems以外全てのメーカーはFDAに認可されており、米国内で臨床使用が可能です。
乳癌は、デジタルでもフィルムでもマンモグラフィ上ではほぼ同じように見えます。しかし、フィルムではなくモニター上の表示画像を読み取るには、追加の読影(放射線科医の)訓練を必要とします。米国でのマンモグラフィを定める連邦法(the Mammography Quality Standards Act:マンモグラフィ標準規格法)では、フィルムによるマンモグラフィを診断していた放射線科医がデジタルで診断を行うには、別に追加の訓練を受けるべきと定めています。
臨床試験結果
8. DMISTの主要な結果はどうでしたか?
全体での研究対象の女性にとって、デジタルおよびフィルムによるマンモグラフィは診断の正確さにおいて非常に近いという結果になりました。
しかし、デジタルマンモグラフィは以下の範疇のいずれかに属する女性にとっては、有意に恩恵がありました:
・50才未満である(乳腺密度がどの程度であったとしても)
・年齢に関係なく、不均一な(非常に密度の高い)もしくは極端に乳房組織の密度が高い
・年齢に関係なく、閉経前もしくは閉経前後(定義:最後の月経がマンモグラムを撮る12ヶ月以内にあった)
以下の範疇全てにあてはまる女性には、明らかなデジタルマンモグラフィの利点はありませんでした。
・50才以上である
・不均一な(非常に密度の高い)もしくは極端に密度の高い乳房組織を持たない
・まだ月経がある
加えて、デジタルマンモグラフィはフィルムと比べ、機械のタイプ、人種、および乳癌のリスクに関して、統計学的に見て診断の正確さにおいて有意な差はありませんでした。
これらの結果は、3つの小カテゴリー(50才未満、不均一に乳腺密度の高い、もしくは極端に乳腺密度の高い乳房を持つ、閉経前もしくは閉経前後期)にあてはまる女性にとってはデジタルマンモグラフィが、従前のフィルムによるそれに比べて乳癌発見において優れているということが示唆されます。DMISTT参加女性の約65%がこのデジタルマンモグラフィの効果範囲内にある小カテゴリーの3つのうち1つには当てはまっています。
もう少し以前に行なわれた研究では、デジタルマンモグラフィはフィルムに比べて偽陽性率がより少ないということが示唆されました。しかしDMISTの結果では、偽陽性の確率はデジタルでもフィルムでも同じでした。
スクリーニングおよび追跡調査を含む研究期間を通して、335人の女性が癌と診断されました。 概して、デジタルでもフィルムでも、発見された癌は組織学上(顕微鏡的構造)やステージ(どのくらい進行しているか)において同様のものでした。
しかし病巣の中でも、デジタルマンモグラフィでは発見されたけれどフィルムでは発見できなかった50才未満の女性、不均一に乳腺密度の高い、もしくは極端に乳房組織の密度の高い女性、閉経前もしくは閉経前後の女性から発見された病巣は、多くの進行性で中~高程度の乳管内病巣を含んでいました。これらの癌の多くは、乳房内に限局していると診断されました。すなわち、癌はまだ腋下のリンパ節まで広がっていないのです。この手の病巣こそが、より多くの命を救うためにスクリーニングで早期に発見されるべき癌なのです。病巣が粘膜内にある乳癌は、乳房周辺の組織に広がることなく病巣が乳管内にとどまっているもので、非浸潤性乳管癌(DCIS)と呼ばれています。
デジタルマンモグラフィでもフィルムでも、臨床試験参加者全ての乳癌を発見できたわけではありません。マンモグラフィ検診の後でしこりや乳房の変化、または何らかの症状を見つけた女性は、マンモグラフィの結果が乳癌の兆候なしと出た場合でも医師に連絡しなければならないとしています。
デジタルおよびフィルムによる両マンモグラフィの乳癌に対する感度(乳癌の有無を診断する性能)は、乳癌スクリーニング試験で従来用いられている感度測定法を用いたところ研究対象全体の70%でした。
乳腺密度の高い女性に対する検出感度は、フィルムによるマンモグラフィがわずか55%だったのに対して、デジタルによるそれは70%でした。全体での70%という割合は、予測された発見率の範囲内です。
特異度、もしくは乳房が正常な場合に癌がないと正確に判定する能力は、マンモグラフィ検診について予測されていたとおり、DIMSTでも高いという結果がでました。1年の期間をおいた後の追跡調査での特異度は、デジタルとフィルムを合わせて調査対象者全体で92%でした。
DMISTは乳癌の死亡率を研究するためのものではありません。そのためのリサーチにはもっと長い期間と費用のかかる研究が必要です。DMISTでデジタルマンモグラフィによる癌診断の有益性が示された小グループの女性たちも、命が助かるという意味ではありません。しかし、フィルムでは発見できなかったけれどデジタルによるマンモグラフィでは癌が発見されたこの小グループの女性たちの乳癌は、死をもたらしうる癌なのです。これはつまり、診断時において腋窩リンパ節(癌に侵されている乳房の隣にある腕の下のリンパ節)への転移がない浸潤癌および中~高程度の非浸潤性乳管癌(DCIS)ということです。
過去に死亡率を研究した無作為の臨床試験によると、マンモグラフィ検診を行った場合、乳癌の死亡率は年齢によって18%~30%の間で下がっています。DMISTの結果では、全対象においてデジタルマンモグラフィはフィルムと少なくとも同程度乳癌を検出し、そして3つの小グループに属する女性からは、より進行した深刻な乳癌が見つかっています。このことは、少なくとも現在のフィルムによるスクリーニングと同じくらい、もしかするともっと多くの命が、デジタルマンモグラフィによって将来救われるかもしれないことを示唆しています。
いいえ。臨床試験の結果は、以下3つのカテゴリーのいずれかに属する女性だけが、フィルムよりデジタルマンモグラフィを受けたほうが有益であろうと示しているのです。
・50才未満である(乳腺密度の高さに関係しない)
・年齢に関係なく、不均一(非常に密度の高い)もしくは極端に乳腺密度が高い
・年齢に関係なく、閉経前もしくは閉経前後である(定義:最後の月経がマンモグラムを受けた12ヶ月以内にあった)
また、テストの結果は、以下3つのカテゴリー全てに属する女性はフィルムに替わってデジタルマンモグラフィを受けても利点はないと示しています。
・50才以上である
・不均一(非常に密度の高い)もしくは極端に密度の高い乳房を持たない
・既に閉経している
現在のところ、アメリカ内のマンモグラフィ装置でデジタルシステムがあるのは全体のわずか8%にすぎません。一方、マンモグラフィ検診を受ける女性のおよそ40%が乳腺密度の高い乳房を持っています。今のところ、すぐに乳腺密度の高い乳房の女性すべてがデジタルによるマンモグラフィを受けるのは不可能でしょう。より多くのデジタルマンモグラフィが利用できるようになれば、これらデジタルの方がより確実な診断を受けられるグループの女性たちが実際に利用し恩恵を受けられるようになるでしょう。
第2の目標は以下のものです。
・デジタルマンモグラフィはフィルムに比べて1.5~4倍の費用がかかるので、デジタルとフィルムマンモグラフィの、費用対効果を調べる
・偽陽性を減らすことによる臨床試験参加者のQOL(生活の質)への影響評価
臨床試験のこの部分の結果はまだ分析中であり、後日公表される予定です。実際、偽陽性の低下が期待されたものの、DMISTではそれは示されませんでした。また、偽陽性診断によるQOLへの影響は、後日発表されます。
読影者への比較試験は7種類、以下のことを調査するために行われました。
・デジタルマンモグラフィによるソフトコピー(コンピューターのモニター上の表示)での診断の正確さは、印刷されたフィルムによるものと比べてどうか
・有病率(臨床試験参加者のうち、実際に乳癌だった者の割合)の影響は、読影者の能力にどう作用されるか
・乳腺密度の高さによる影響は、デジタルおよびフィルムによるマンモグラフィで診断の正確さにおいてどうか
・それぞれ4つのデジタルマンモグラフィ機材による診断の正確さは、フィルムによるものと比べてどうか
読影者研究の分析は現在のところまだ完了していません。
女性のための情報
15. NCIはマンモグラフィ検診にどのようなことを勧めていますか?
NCIは以下のことを勧めています。
・40才代の女性は1年もしくは2年に一度マンモグラフィを受ける
・50才以上の女性は1年もしくは2年に一度検診を受ける
・通常よりも乳癌のリスクの高い女性は、40才以下でも検診を受けることが必要か、またどのくらいの頻度で受けるべきか専門の医師に相談する
今のところ、フィルムによるマンモグラフィのほうが圧倒的に多いのが現状です。デジタルによるマンモグラフィを希望する女性は、医師や地域の病院、もしくは医療施設に近隣で利用可能な機関の有無について問い合わせて下さい。
17. 住んでいる地域にデジタルマンモグラフィ設備のある施設がない場合や、十分な数の機器がない場合は、次のマンモグラフィテストをデジタル設備で受けられるまで待つべきですか?問題のあるカテゴリーに属する女性は、次回の予定より早くデジタルによるマンモグラフィを受けるべきですか?
女性は、予定されたとおりのマンモグラムを受けるべきです。次のマンモグラフィが予定されているなら、デジタルによるマンモグラフィのために予定を遅らせたりせずフィルムによるものを受けるほうが良いです。デジタルでスクリーニングができないからといった理由でマンモグラフィを遅らせてはいけません。フィルムによるマンモグラフィは乳癌発見の手段として35年以上も効果的に使用されてきているのです。
また、この臨床試験の結果を受けて追加のマンモグラフィを受けるのもいけません。つまり、昨年マンモグラフィを受けて乳癌の兆候や症状がないと判断された場合、次のマンモグラフィは早めたりせず、通常の予定通り受けるべきです。
FDAの認可を受けたGEのデジタルマンモグラフィシステムだけは、従来のフィルム撮影で使用されていたより小さな撮像領域となっています。このことはつまり、大きな乳房を持つ女性の中には、フィルムで通常各乳房につき1枚で計2枚の撮影ですんでいたものが、デジタルではさらに追加で多くの撮影が必要になる人がいるということです。
DMISTの試験では、フィルムによる場合に比べてデジタルマンモグラフィでは、参加者全体の19%の女性が乳房全域を撮影するのに1枚以上の追加撮影を必要としました。これらの女性のうち25%はGEシステムで検査を行いましたが、フィルムで行う場合に比べて多くの撮影枚数を必要としました。この多くの撮影を必要とした乳腺密度の高い乳房の女性たちは、デジタルマンモグラフィでのほうが正確性でのメリットのある典型的なグループです。
この問題について考えてみれば、一つの方向からの撮影が増えたからといって劇的に被曝が増えるわけではないという事が重要です。なぜなら、一つの方向からの撮影では乳房全体が毎回被曝するわけではないからです。例えば、フィルムによる1枚のマンモグラムの代わりに、2枚のデジタルマンモグラムを受けたとします。しかし、乳房が2倍の量の被曝をしているわけではありません。なぜなら2回撮影を受ける部分は乳房のごく一部だからです。一般的にいって、デジタル撮影の数が増えるのは、大きく乳腺密度の高い乳房を撮影するためのいくぶん補助的なもので被曝量も低めだからです。
現在のところ、これを判断するのは前回のマンモグラフィによってしかできません。通常、マンモグラフィによる乳腺密度判定は、マンモグラフィを読んだ担当放射線科医によって書面での報告書で残されています。仮にこの密度が記録されていなかった場合は、放射線科医もしくは資格を持つマンモグラフィ技師が前回のマンモグラフィを見て判断することになります。自分の乳腺密度がどうなのか分からない女性は、次回マンモグラフィを受ける際に問い合わせてみるべきです。
乳腺密度は変化します。ほとんどの場合、乳房組織は加齢とともに密度が低くなります。エストロゲン治療や閉経、体重の増減によっても乳腺密度は変化します。もし自分の乳腺密度について質問があれば、かかりつけの医師もしくはマンモグラフィを受ける機関のスタッフに問い合わせてください。
受ける女性側からみると、デジタルもフィルムのほぼ同じような感じです。乳房への位置決めや圧迫はどちらも同じです。
22. 他に、乳癌のスクリーニングに有効な画像技術はありますか?
マンモグラフィに加え、超音波およびMRI(磁気共鳴影像法)の両者が乳癌のスクリーニングに使用されることがあります。ACRINは現在ほかにも乳癌のスクリーニングの臨床試験を行っており、それはハイリスクの女性たちへの超音波診断とマンモグラフィを比較するものです。MRIは乳癌のハイリスクの女性たちに将来有効性があると示しています。DMISTはこれらいずれの技術の試験も行っていません。実際のところ、DMISTに参加してもらった女性たちはこの臨床試験への参加の前後1年間は、他のスクリーニング臨床試験に参加してはいけないことになっています。
また、一般の40才以上の女性に乳癌のスクリーニングを行うための方法として、マンモグラフィに代わるという意味で超音波診断やMRIの多施設臨床試験を行っているところはありません。
その他の追加情報
23. デジタルマンモグラフィがフィルムマンモグラフィより有利な点は他にありますか??
デジタルマンモグラフィがフィルムに比べて有利な点は、画像へのアクセス、伝送、検索と保存の簡便さの向上、診断の正確さを損なわずに平均被曝量を低減できる、などがあります。加えて、デジタルマンモグラフィのほうがフィルムに比べて損失が少ないです。
24. デジタルマンモグラフィとフィルムマンモグラフィでは、被曝量はどのくらいですか?
DMISTでは、デジタルマンモグラフィの被曝量はフィルムマンモグラフィに比べ4分の3です。しかしながら、フィルムマンモグラフィの線量はとても少なく、患者に深刻な危険を与えることはありません。
25. 米国では毎年どれくらいの女性がマンモグラフィを受けますか?
FDAの報告では、1年に3,350万件マンモグラフィが施行されます。2000年~2002年のデータでは、そのうち70%がスクリーニングのために行われています。(癌の診断後の検査に対して、癌の発見の目的)したがって、毎年2,350万件が検査のために行われていることになります。
2005年メディケア(*注:公的保険。Glossary参照)で補填される金額は、フィルムマンモグラフィは$85.65、デジタルマンモグラフィ(乳房切除の場合に比較して両乳房で)は$135.29です。医療保障や地域によって差異があります。
テレマンモグラフィとは、離れた場所でも画像を見られるように電子的にデジタルマンモグラフィを転送するものです。これは、ワイヤレスネットワーク(衛星通信など)や従来の有線通信を使用します。これにより、特に遠隔地に住んでいる女性にとって、専門家やセカンドオピニオンのためのデジタルマンモグラフィへのアクセスが容易になります。
28. この臨床試験を行った医師は誰ですか?
Chapel Hillのノース・キャロライナ大学Biomedical Research Imaging CenterとLineberger Comprehensive Cancer Center放射線生物医学工学教室のEtta D. Pisano医師が率いました。
臨床試験の共同統括医師はイリノイ州シカゴのノースウェスタン大学放射線科Edward Hendrick博士でした。責任物理士はカナダ、オンタリオ州トロントのMedical Imaging of the University of Toronto 画像研究科Martin Yaffe博士でした。ロードアイランド州ブラウン大学統計科学センターは、Constantine Gatsonis博士の指示の下試験の統計調整を提供、マジソンのウィスコンシン大学のDennis Fryback博士は、健康に関するQOL解析を、ニューハンプシャー州ハノーヴァーのDartmouth医科大Anna Tosteson科学博士はコストパフォーマンス評価を指導しました。データと画像の収集、試験の調整はペンシルバニア州フィラデルフィアのACRIN本部のthe American College of Radiologyで行われました。
試験結果についてのNew England Journal of Medicine オンライン版引用元は以下のとおりです。 Pisano E, Gatsonis C, Hendrick E, Yaffe M, Baum J, Acharyya S, Conant E, Fajardo L, Bassett L, D’Orsi C, Jong R, and Rebner M. Diagnostic Performance of Digital versus Film Mammography for Breast Cancer Screening – The Results of the American College of Radiology Imaging Network (ACRIN) Digital Mammographic Imaging Screening Trial (DMIST). NEJM, published online September 15, 2005 and in print on October 27, 2005
(中島美香 訳
平 栄(放射線腫瘍科) 監修 )
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