臨床計算ツール<clinical calculator>

MDアンダーソン OncoLog 2015年9月号(Volume 60 / Number9)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

役立つリソース:臨床計算ツール<clinical calculator>

がんの治療法は、患者や病態の多様な特徴を踏まえた上で決定しなければならない。医師がエビデンスに基づき治療法の提案を行うための一助となるよう、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの専門家チームが一連のオンライン版、臨床計算ツール(clinical calculator)を開発した。この臨床計算ツールは、さまざまながん種の患者における生存期間や治療転帰を予測できるよう設計され、医師が入力した患者データに基づき予測を行う。

たとえば、乳がんに対する術前化学療法の効果を予測する計算表では、患者の年齢、術前化学療法レジメン(計画)、腫瘍のT分類/直径/組織型/組織学的グレード/エストロゲン受容体ステータス、腫瘍が多中心性か否かを入力するよう表示されている。これらの情報から、個々の患者における術前化学療法の病理学的完全奏効(pCR)の達成、術前化学療法後における直径3 cm未満の浸潤性腫瘍の残存、乳房温存手術が可能か否かに関するがい然性(確率)が予測される。

乳がん治療に関しては、他に下記の項目を予測する臨床計算表もある。術後の無病生存、残存腫瘍量、術前化学療法の有無によるリンパ節ステータス、また66~79歳の女性における乳房温存術後に見込まれる放射線療法の有益性など。さらに、食道がんの患者におけるリンパ節転移の予測、大腸がんや膵臓がんの患者における生存転帰の予測にも臨床計算ツールは有効である。

臨床計算ツールは、ピアレビュー誌の記事から得たデータを用いて開発されており、医学的見解と関連させつつ適切に利用できる医師によって利用されるべきである。

臨床計算ツールへのアクセスは下記URLから行う。
https://www.mdanderson.org/for-physicians/clinical-tools-resources/clinical-calculators.html

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OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

翻訳担当者 八木 佐和子

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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