トラスツズマブはHER2陽性進行乳がんの治療においてラパチニブよりも優れている
キャンサーコンサルタンツ
ヒト上皮増殖因子受容体(HER2)陽性進行乳がん患者において、トラスツズマブ(ハーセプチン)とタキサンの併用は、ラパチニブ(タイケルブ)とタキサンの併用よりも、がんの進行を遅らせ、副作用が少ないという臨床試験の最終結果がJournal of Clinical Oncology誌で発表された。
HER2経路は生物学的経路であり、細胞の複製および増殖に関与している。乳がんのおよそ20~25%はHER2タンパク質が過剰発現しており、それらはHER2陽性乳がんといわれる。トラスツズマブおよびラパチニブはともにHER2タンパク質を標的として阻害し、早期HER2陽性乳がんおよび進行HER2陽性乳がんの治療に使用されている。
カナダ国立癌研究所(NCIC)臨床試験グループは、中央検査施設でHER2陽性進行乳がんと確認された患者537人を21カ国から登録し、タキサンとラパチニブの併用治療、または、タキサンとトラスツズマブの併用治療をして評価した。これら患者のこれまでの追跡期間中央値は21.5カ月である。
ラパチニブ+タキサン併用患者の無増悪生存期間中央値は9.0カ月であったのに対し、トラスツズマブ+タキサン併用患者の中央値は11.3カ月であったと、研究者は報告した。さらに重要なことは、中央検査施設でHER2陽性乳がんと確認されラパチニブを投与した患者は全生存期間がより不良であったことである。
副作用による治療中止時期についても、トラスツズマブの方が良い結果であり、副作用はトラスツズマブ(8%)よりもラパチニブ(15%)のほうで頻発していた。重い下痢がみられたのは、ラパチニブ治療患者で19%であったのに対してトラスツズマブ治療患者では1%であった。また、発疹は、ラパチニブ治療患者8%に対して、トラスツズマブ治療患者0%であった。
著者らは、これらの結果が「進行HER2陽性乳がん患者の治療において、現在利用できる併用療法や新薬はないが、従来の薬またはバイオ後続品が利用でき、しかも手頃な価格で入手可能になる可能性があることを示唆している」と述べた。
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