パルボシクリブ+レトロゾール併用でエストロゲン受容体陽性/HER2陰性進行性乳癌の転帰が改善
キャンサーコンサルタンツ
閉経後のエストロゲン受容体(ER)陽性/ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性進行性乳癌患者の一次治療において、レトロゾール(フェマーラ)にパルボシクリブ[palbociclib](Ibrance)を追加することで無増悪生存期間が延長したという第2相PALOMA-1/TRIO-18臨床試験の結果が、先日Lancet Oncology誌で報告された。
パルボシクリブはキナーゼ阻害剤の一種で、閉経後のER陽性/HER2陰性進行性乳癌患者の治療で、転移性疾患の初期内分泌療法としてレトロゾールとの併用投与が今回承認された。
PALOMA試験では、閉経後のER陽性/HER2陰性の乳癌患者のうち、サイクリンD1(CCND1)増幅もp16(INK4AまたはCDKN2A)欠損もない群と、サイクリンD1(CCND1)増幅またはp16(INK4AまたはCDKN2A)欠損のいずれか、あるいは両方がある群の2群が登録された。全患者にレトロゾール+パルボシクリブ、あるいはレトロゾールのみを28日周期で継続的に投与し、転帰を直接比較した。
調査対象母集団は現在、治療開始から平均しておよそ29カ月が経過しており、レトロゾール+パルボシクリブ併用群の43%が治療に反応を示したのに対し、レトロゾール単独群ではわずか33%だった。併用投与した患者は平均で無増悪生存期間が2倍になった。パルボシクリブ併用群では無増悪生存期間が20.2カ月であったのに対し、レトロゾール単独群では10.2カ月であった。
平均すると、パルボシクリブを投与した患者は37.5カ月生存したのに対し、レトロゾールを単独投与した患者は33.3カ月生存した。骨髄への毒性がパルボシクリブ+レトロゾール併用群で最も頻度の高い副作用であり、症状として血球数低下による疲労がみられた。試験は現在も継続中で、より詳細な分析が今後発表される予定である。
研究著者らは、レトロゾールにパルボシクリブを追加することで、エストロゲン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳癌患者の無増悪生存期間が有意に延長するという結論を出した。この所見を確認するため、第3相臨床試験が現在進行中である。
参考文献:
Finn R, Crown J, Lang I, et al. The cyclin-dependent kinase 4/6 inhibitor palbociclib in combination with letrozole versus letrozole alone as first-line treatment of estrogen receptor-positive, HER2-negative, advanced breast cancer (PALOMA-1/TRIO-18): a randomised phase 2 study. The Lancet Oncology, Vol 16, No. 1, p25-35, January, 2015.
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