Pictilisibとフルベストラントの併用はER/PR陽性の進行乳癌女性に有効である可能性
開発中のpictilisib[ピクチリシブ、旧GDC-0941]を内分泌療法薬のフルベストラントと併用したところ、アロマターゼ阻害剤抵抗性を獲得したエストロゲン受容体(ER)陽性かつプロゲステロン受容体(PR)陽性の進行性および転移性乳癌女性の無増悪生存期間が延長したことが、サンアントニオ乳癌シンポジウム2014(12月9〜13日)で発表されたランダム化第2相FERGI試験のデータにより明らかになった。
「ER陽性乳癌患者全体のデータ解析では、無増悪生存期間の改善に統計学的有意差は認められませんでした」と、ダナファーバー癌研究所(所在地:ボストン)で乳腺腫瘍学プログラムの臨床研究責任者を務めるIan E. Krop医学博士は語った。
「しかし、予備解析でERとPR共に陽性の乳癌患者のみを対象に検討したところ、ピクチリシブの併用により、無増悪生存期間が3.7カ月から7.4カ月へと2倍もの有意な延長を示しました。そのため、ER/PR陽性乳癌女性に対するピクチリシブの効果が、本試験に追加した別の患者コホートでも有効かどうか検討することを計画しています」。
17カ月の追跡調査後に実施したER陽性乳癌女性の試験対象集団全体を対象にした解析では、ピクチリシブ+フルベストラントにランダム割り付けした群は、プラセボ+フルベストラントに割り付けた群に比べ、病勢進行を示した患者が26%少なかった。無増悪生存期間の改善に統計学的有意差は認められなかった(p=0.09)。
ER/PR陽性乳癌女性の無増悪生存期間について事後解析を行ったところ、ピクチリシブ+フルベストラント群はプラセボ+フルベストラント群に比べ、病勢が進行した患者が56%も少なかったことが明らかになった。これは統計学的に有意な改善であった(p=0.002)。
「PI3Kシグナル伝達経路の活性化がER陽性乳癌の内分泌療法に対する抵抗性を引き起こすことを示唆する、説得力のある前臨床データと複数の臨床データがあります」 とKrop氏は語る。「このことが、PI3K阻害剤ピクチリシブをフルベストラントと併用することで、アロマターゼ阻害剤による内分泌療法に対する抵抗性を獲得した進行性または転移性ER陽性乳癌患者の無増悪生存期間が改善するかどうか検討する論理的根拠となりました」。
「驚いたことに、この試験データから、PI3Kシグナル伝達経路の中心的構成要素であるPIK3CA遺伝子に変異を有する乳癌であることは、ピクチリシブによる効果予測因子ではなかったことがわかりました。このことはPIK3CA遺伝子変異がPI3Kシグナル伝達経路活性化の唯一の因子ではないことを示唆しているのかもしれません」とKrop氏は続けた。
Krop氏らは、アロマターゼ阻害剤による治療中あるいは治療後に再発もしくは転移した、ER陽性HER2陰性閉経後乳癌患者168人 を試験に登録した。患者をフルベストラント+ピクチリシブ群またはフルベストラント+プラセボ群のいずれかに割り付けた。
予期せぬ毒性は報告されなかった。ピクチリシブ+フルベストラントの副作用は、ピクチリシブ単剤投与試験で認められた副作用と類似していた。
FERGIは、ER陽性乳癌に対するフルベストラントとGDC-0941 およびGDC-0980阻害剤の併用(fulvestrant in ER-positive breast cancer with GDC-0941 and GDC-0980 inhibitors)の略である。
本試験は、Genentech社の研究助成を受けた。Krop氏は、Genentech社から研究資金の提供を受けている。
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