フルベストラントはアナストロゾールよりも進行性乳癌患者の生存期間を延長
ホルモン受容体陽性進行性乳癌で、過去に進行疾患に対する治療を受けていない患者において、フルベストラントを投与した患者ではアナストロゾールを投与した患者よりも生存期間の延長がみられたことが、2014年サンアントニオ乳癌シンポジウム(12月9日~13日)で発表された第2相臨床試験FIRSTのデータにより明らかになった。
「今まで進行性乳癌の女性に対して、第三世代アロマターゼ阻害剤であるアナストロゾールが一次治療で最も有効なホルモン療法でしたが、フルベストラントはアナストロゾールよりも有意に優れていることがわかりました」と英国ノッティンガム大学、ロイヤルダービー病院Graduate Entry Medical School外科教授であるJohn Robertson医師は述べた。
「以前報告した第2相臨床試験FIRSTの予備解析では、フルベストラント500mgは、アナストロゾールと比較して、治療期間中、長期の病勢コントロールが得られるという結果になりました。その結果が、今回報告する新しいデータにより、全生存期間の延長という形になりました」とRobertson氏は付け加えた。
「このFIRST試験では、治療期間中の病勢コントロール改善および全生存期間の改善がみられましたが、この試験は第2相臨床試験であるため、この結果が今の時点で標準治療を変えるとは期待していません」とRobertson氏は説明する。「一次治療における薬剤としてのフルベストラント認可のために、FALCONという第3相試験が開始されましたが、これにより治療が変わるかもしれません」。
2006年に開始された臨床試験FIRSTはランダム化非盲検試験で、9カ国62施設においてホルモン受容体陽性進行性乳癌の女性205人が参加した。患者は、一次治療として、フルベストラント500mg群(102人)か、アナストロゾール群(103人)に割り付けられた。2014年7月の時点では、患者170人の情報が得られ、33人が生存、137人が死亡であった。
試験参加者の67%が死亡した時点で算出した全生存期間中央値は、フルベストラント群が54.1カ月、アナストロゾール群が48.4カ月であった。フルベストラント群の死亡率は、アナストロゾール群に比べて30%低かった。有害事象は両群で同様であった。
「われわれは以前、二次治療におけるフルベストラント500mgを試験する第3相試験CONFIRMを行いましたが、そこでもフルベストラントはアナストロゾールよりも有益な生存率が得られ、それを考えれば、今回は刺激的で期待のできる結果です」と、Robertson氏は言う。
この試験はアストラゼネカにより資金提供を受けた。Robertson氏の施設は、アストラゼネカより、フルベストラントの研究に対して研究助成金を受けた。Robertson氏は、アストラゼネカでの会議参加、また、アストラゼネカ、ファイザー、ノバルティス、バイエル、アムジェンの諮問委員会のメンバーであることに関する、旅費や謝礼金などを受け取った。
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