トリプルネガティブ乳癌に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤ペンブロリズマブの初期結果
キャンサーコンサルタンツ
多種類の抗癌剤前治療歴を有するトリプルネガティブ乳癌患者に対して、チェックポイント阻害剤ペンブロリズマブペンブロリズマブ[pembrolizumab](商品名:キートルーダ)を評価する第1相臨床試験の初期成果が、このほどサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で報告された。
Programmed cell death-1 (PD-1) として知られる癌の免疫療法戦略は、免疫システム認識を助け、癌を攻撃することを可能にするため、大変な熱狂をもたらした。PD-1は特定の種類の免疫反応を阻害するたんぱく質である。PD-1を阻害する薬剤はチェックポイント阻害剤と呼ばれ、癌と闘う免疫システムの能力を増強する可能性がある。ペンブロリズマブは、PD-1受容体と高い親和性で結合する完全ヒト化モノクローナル抗体である。
他の癌でこれまでに得られた臨床上の証拠は極めて有力で、ペンブロリズマブならびにニボルマブやイピリムマブ[ipilimumab](エルボイ)のような他のチェックポイント阻害剤がメラノーマ、リンパ腫および肺癌に対し非常に有効であることを示唆している。[1-4]
乳癌は、必要な治療法が異なるさまざまな特性のタイプを示す。乳癌の大部分はホルモン受容体陽性で、癌細胞が女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンへの暴露によって成長を促進することを意味する。他の乳癌はHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)陽性として定義され、細胞の複製と成長に関連する生物学的経路を過剰発現していることを意味する。HER2陽性乳癌は乳癌全体の約25%を占め、成長や複製を減速させるために、その受容体を標的とする薬剤で治療される。
エストロゲンまたはプロゲステロンの暴露で成長を促進せず、HER2陰性の乳癌はトリプルネガティブ乳癌と呼ばれる。トリプルネガティブ乳癌は他の乳癌より悪性の傾向があり、比較的治療の選択肢が少なく、最新の臨床試験に注目が集まっていた。
本研究で、32人の再発性・転移性PD-1陽性のトリプルネガティブ乳癌患者が、完全奏効、部分奏効、病勢安定もしくは疾患の増悪確認のいずれかになるまで、ペンブロリズマブを2週間ごとに投与された。
全体で、18.5%の患者にペンブロリズマブ治療が反応した。1人は完全奏効、4人は部分奏効、7人は病勢安定が得られた。
本臨床試験は、ペンブロリズマブが治療が難しいグループである進行性トリプルネガティブ乳癌に対し抗腫瘍活性を持つことを示した。臨床試験責任医師らは第2相臨床試験に進み、2015年初めに患者の組み入れ開始を予定しており、今回よりもさらに良い結果になることを望んでいる。
参考文献:
[1] Robert C, Long GV, Brady B, et al. Nivolumab in Previously Untreated Melanoma without BRAF Mutation. New England Journal of Medicine [early online publication]. November 16, 2014.
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[4]. Ansell S, Lesokhin A, Borrello I, et al. PD-1 Blockade with Nivolumab in Relapsed or Refractory Hodgkin’s Lymphoma. The New England Journal of Medicine. December 6, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1411087
[5]. Nanda R, Chow LQ, Dees EC, et al. A phase Ib study of pembrolizumab (MK-3475) in patients with advanced triple-negative breast cancer. Presented at the 2014 San Antonio Breast Cancer Symposium, December 9-13, 2014. San Antonio, Texas. Abstract S1-09.
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