OncoLog 2014年11-12月号◆In Brief「ワクチンによりHER2陽性乳癌の再発リスクが低下」
MDアンダーソン OncoLog 2014年11-12月号(Volume 59 / Number 11-12)
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ワクチンによりHER2陽性乳癌の再発リスクが低下
GP2ワクチンによる免疫補助療法は、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性のハイリスク乳癌患者、特にトラスツズマブによる治療を行っていた患者に対する再発予防に有望であることが示された。
GP2はHER2由来の抗原性ペプチドであり、ヒト白血球型抗原(HLA)A2陽性の細胞に結合する。このワクチンは、GP2に免疫アジュバントとして顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を混ぜたものである。
テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターおよびその他の施設にて本ワクチンの第2相試験を実施した。本試験は、標準治療実施後に癌の再発がないHLA-A2陽性乳癌患者を対象とした。そして全ての対象患者の癌にはHER2タンパクが発現していた。参加患者は、リンパ節陽性あるいはHER2過剰発現といったさまざまな因子による再発リスクが高かった。
本試験では、補助療法としてGP2-GM-CSFワクチン群もしくはGM-CSF群に患者を無作為に割り付けた。この治療は、6カ月に一度の皮下注射の後に4回の追加接種を6カ月間隔で実施した。
GP2-GM-CSFワクチン群は89人、GM-CSF群は91人であった。中央値34カ月(範囲は1-60カ月)の追跡調査で、GP2+GM-CSFワクチン群の無病生存率は94%であったのに対してGM-CSF群は85%であった(p=0.17)。再発の徴候がみられるまで、両群の参加患者の追跡調査を実施した。
統計的には両群の無病生存率に有意差はないが、GP2-GM-CSF群のHER2過剰発現48人の無病生存率は100%であった結果に、研究者らは希望を見出した。
HER2過剰発現患者に再発が認められなかった理由は、これらの患者には、標準治療としてトラスツズマブを投与していたことに起因したかもしれない。外科腫瘍学准教授のElizabeth Mittendorf医学博士によると、トラスツズマブがワクチンのプライマーの役目を担った可能性がある。トラスツズマブは、CD4陽性T細胞を刺激し、抗体反応を引き起こす。したがって、トラスツズマブは、GP2-GM-CFSワクチンと相乗的に作用すると考えられる。MDアンダーソンでは、現在、他の臨床試験においてもこの免疫療法の組み合わせの試験を実施している最中である。
「現在、免疫システムを刺激することで、癌の再発を防止する方法を研究中である」と、Mittendorf医師は述べた。同医師らは、この解析を9月に開催された米国腫瘍学会の2014乳癌シンポジウムで発表した。
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